著者
佐々木 善浩 山田 真希 寺島 崇 王 剣鋒 橋詰 峰雄 范 聖第 菊池 純一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.541-546, 2004-10-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
18
被引用文献数
14 17 2

生体膜モデルとしての有機-無機ハイブリッドベシクル「セラソーム」を用いて, シグナル伝達機能を有する分子間コミュニケーションシステムを構築した. 頭部にトリエトキシシリル基と四級アンモニウム基をもつ二本鎖型のペプチド脂質から作製したセラソームは, 従来型の脂質二分子膜ベシクルよりも著しく高い構造安定性を有することが, 界面活性剤に対する耐性評価から明らかになった. このセラソームを基板に用いて, 人工受容体による化学シグナル認識の応答が, メディエータとしての金属イオンを介して酵素に伝達され, 酵素活性のオン・オフを制御できる分子デバイスを作製し, その機能を明らかにした. 人工受容体にアミノ基を有するステロイド誘導体, シグナルとしてピリドキサール5'-リン酸, メディエータに銅 (II) イオン, 化学信号増幅器として乳酸脱水素酵素を用いたセラソーム系において, 顕著なシグナル伝達機能が発現した.
著者
甲田 優太 寺島 崇矢 澤本 光男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.691-706, 2015-12-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
66
被引用文献数
1 1

近年筆者らは,一般的な親水性や疎水性とは異なる「フルオラス性」に着目して,リビングラジカル重合によりパーフルオロアルキルモノマーで機能化したミクロゲル星型ポリマーと両親媒性ランダムコポリマーを合成し,これらを用いて有機溶媒あるいは水に可溶なフルオラス性ナノ機能空間を創出した.フルオラスミクロゲル星型ポリマーは,有機溶媒や水中にてフルオラス性のフッ素多置換化合物を選択的に捕捉し,溶媒や温度の変化により捕捉ゲスト化合物を放出するナノカプセルとして作用した.また,ポリエチレングリコール鎖とパーフルオロアルキル鎖をもつ両親媒性フルオラスランダムコポリマーは,水中で動的なフルオラス性空間をもつ一分子折りたたみポリマーまたは多分子会合体を形成した.このポリマーは,細胞毒性が低く,タンパク質を固定化することも可能であり,新たなバイオマテリアルとしての応用が期待される.