著者
Pillay Ruby Moothien 寺島 裕晃 川崎 博之
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌
巻号頁・発行日
vol.2002, no.4, pp.43-52, 2002
被引用文献数
13

大規模なサンゴ白化現象が1998年にアジア、インド洋、カリブ海など世界各地で観察・報告された。このような状況下、モーリシァスでは、サンゴ白化状況の把握、定量化を図るため、1998年3月から5月にかけて3期の潜水観察調査を沿岸8ヶ所の礁原と礁外縁斜面で行なった。初回はモーリシァスで白化現象が観察されてから2週間以内の3月初旬にクオドラットを用いた調査を4地点で行なった。初回調査が終了してから約1ヶ月後にあたる3月末からライントランセクトによる第2回目の調査を5地点で行ない、第2回目の調査が終了してから1週間後に第3回目の定性的な調査を2地点で行なった。サンゴ白化現象は、調査を行なった全ての地点で観察されたが、サンゴ群体全体が白化していることは少なく、モーリシァスのサンゴ白化現象は他のインド洋の島々と比べ軽微なものであった。礁原上で観察されたミドリイシ属サンゴはその他のサンゴに比べて相対的に白化している割合が高かった。しかし、対照的に礁外縁斜面では、ミドリイシ属以外のサンゴ類の白化傾向が強かった。このようなモーリシァスのサンゴ白化は、水温上昇や塩分濃度の減少などに起因するものと推測される。