著者
寺嶋 愛 吉岡 和子
雑誌
福岡県立大学心理臨床研究 : 福岡県立大学心理教育相談室紀要 (ISSN:18838375)
巻号頁・発行日
no.9, pp.35-48, 2017-03-31

本研究では,娘が母親の情緒的関わりによって母娘の絆を築くことで安心感を得ることができたかどうかによって,娘の本来感や「いい子」を振る舞うかどうかが変化するのではないかと仮定し,娘の「いい子」の関連モデルを検討することを目的とした。女子大学生とその母親に対する質問紙調査を実施した結果,『「母親の情緒的関わり」という「母親から認められる」経験が娘の「安心感」の獲得につながり,その「安心感」を基に「母娘の絆」を築いていき,「お母さんは自分の欲求を満たしてくれる,信頼できる存在なのだ」という母親に対する信頼感を得られる。それによって「本来感」が得られ「本当の自分」を表出することが可能となる。』という一連の過程が経験できれば,『娘は「我慢」して「いい子」を振る舞うことなく「自分らしく」いることができる』ということが示された。娘が「いい子」を振る舞うかどうかには「母親の情緒的関わりによる安心感の獲得」が非常に重要であり,娘が成長し,自立へと向かう過程においても継続して重要な意味を持ち続けると考えられる。