著者
平 啓介 寺本 俊彦 北川 庄司
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.181-192, 1985
被引用文献数
5

アーンデラ水晶圧力計を用いて, 相模トラフの2, 036m水深点, 駿河トラフの2, 538m水深点, そして南大東島沖の32m水深点で海底における水圧変動の通年観測を行なった. 潮汐の各分潮の振幅と位相を応答法を用いて評価した. 気象庁の沿岸観測値との比較によって, 水晶圧力計による潮汐の観測精度が十分に高いことがわかった. Schwiderski (1979, 1981) の潮汐の全球モデルの計算結果と, 主要8分潮について比較し, 振幅は3cm以内, 位相は15。 以内で一致することがわかった. 海底圧力の変動は潮汐が卓越していて, 主要8分潮を除いた剰余の分散は, もとの分散の1.5%以下であった. 圧力計の指示値のドリフトのため, 海流の変動や渦の移動によって生ずると思われる長周期変動の解析はできなかった.
著者
平 啓介 寺本 俊彦
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.388-398, 1985
被引用文献数
1 17

南海トラフを横断する3点と相模トラフの2点において, 1982年5月から1984年5月まで底層流の直接測定を行ない, 平均流と変動流の特性を調べた.アーンデラ流速計を海底上7rnに係留した.南海トラフの平均流は, 流速0.9-2.1cm sec<SUP>-1</SUP>の反時計まわりの循環があることを示した.トラフ斜面上の方が, 平坦なトラフ底部より流速が大きかった.相模トラフでは相模湾に流入する平均流が観測され, 本州東岸にそって南下する親潮潜流の一部と考えられた.周期100時間以上の変動流の分散は, いずれのトラフにおいても八丈島西方の測点に比べて小さかった.相模トラフの北斜面上で, 周期66.7時間の, トラフ軸に平行に流動する強勢な流速変動が観測された.相模トラフで最大流速49cmsec<SUP>-1</SUP>が観測された.