著者
日野 光紀 小野 靖 小久保 豊 杣 知行 田中 庸介 小俣 雅稔 市野 浩三 上原 隆志 工藤 翔二 葉山 修陽
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.347-354, 2002-04-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
17

1998年日本結核病学会予防委員会より院内感染対策についてのガイドラインが指導され, ツベルクリン反応 (以下, ツ反) 二段階法が推奨されている。これにはブースター効果を含めた結核感染診断に際して対照値 (ベースライン値) の記録を必要とする。われわれは612名の医療関係者に対しツ反二段階法を行った。その結果を分析し至適方法を確立すること。さらに, ツ反施行前に質問用紙を用いて過去のBCG接種歴, ツベルクリン反応歴およびその反応値を聴取し, その保存状況を把握することを目的とした。ほとんどの者が過去の測定値管理が不十分であった。二段階法の結果, 発赤径, 硬結径ともにブースター効果を認めた。さらに, 年齢別の硬結径の拡大径で壮年群のほうがより拡大傾向にあった。さらに, 職種別, 勤務部署別の計測値には統計学的有意差は得られなかった。二段階法ツベルクリン検査1回目の発赤径値が30mm以上の計測値でありながら2回目で10mm以上の拡大を認める被検者が多くいることから, 院内感染管理の上でこのような対象者に対しても二段階法を施行することが必須であると考えられた。