著者
内野 欽司 佐藤 誠治 小倉 貢 岩下 玲 饒村 清司 中村 靖
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.53-59, 1974-06-01
被引用文献数
2 2

1) 運動選手の瞬発握力発揮時の張力を名取の方法により分析し,非鍛錬者のそれと比較し,年令別運動種目別に検討し,さらに測定方法に検討を加えた. 2) 被倹者は17才から26才までの運動選手71名,および対照群として運動選手ではない17才から26才までの健康な男子54名が無作為に選ばれた.運動選手のうち高校生は,相撲,柔道,剣道,野球部員であり,大学生は,ハンドボール,ラグビー,体操部員であった. 3)運動選手の加令にともなうPmax.の変化は,ほぼ20才になるとplateauに達するのを認めた.対照群では20才以降も漸増の経過を示した.4)運動選手のtanψ,tanθはいづれも,対照群より大きく,瞬発筋力発揮時の実行が大であることを認めた. 5)瞬発筋力時の実効を必要とする運動種目は,剣道.柔道で,瞬発筋力の実効を必要としない種目は,体操であろう.またハンドボールは,Pmax.が大きいことは必要であるが,瞬発筋力の実効は,剣道,柔道ほど必要でない種目であるように推定された.6)非鍛錬者および高校生の運動選手郡では,Pmax.の大きいとき,tanψ,tanθも大きい傾向を示したが,大学生,一般成人の運動部員では,このような傾向はみられず,運動種目によりPmax.の増加のしかた,tanψの増加のしかたが異なるように推定された.