著者
谷口 健司 小刀祢 海斗 高山 雄貴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.22-00117, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
20

気候変化に伴う大雨の強大化が懸念される中,氾濫を前提とした水災害対策が不可欠となりつつある.一方,我が国では将来的な人口減少が想定され,発生する余剰地を活用した水災害リスクの軽減が期待される.本研究では,石川県小松市周辺を流れる一級水系梯川を対象とし,気候変化下での大規模降雨発生時の氾濫解析を実施し,浸水深分布及び氾濫被害額の推定を行った.人口減少下での都市構造変化について,応用都市経済モデルを用いた推定を行ったところ,氾濫被害額の減少は約14%となった.人口減少下で水災害リスクの低い地域に生じる余剰地への移転促進策の実施を想定した都市構造変化の推定では氾濫被害額の減少は16%程度となった.既往研究では潜在的に約40%の被害額減少が示されており,効果的な移転促進策検討の必要性が示された.