著者
池田 孝之 平良 博紀 小場 京子 崎山 正美
出版者
琉球大学
雑誌
環境科学特別研究
巻号頁・発行日
1986

1.壁面緑化省エネ効果実例実験の方法(1)実験対象は、屋上緑化収集事例より沖縄県読谷村の住宅とした。当地は始めは米軍家族用住宅として造られた屋根スラブのみの平屋コンクリート住宅約30戸の住宅地である。実験は、屋根スラブ上面に棚をこさえ緑をはわせた緑化住宅と屋根スラブのみの住宅を比較対象とした。(2)測定は、気温を中心に屋根緑ネット内,屋根上部空気層,屋根表面,天井内,室内,戸外で行なうと同時に、室内湿度,屋根面日射量,微風速も測定した。測定器具は、自記温度計(マルチロガー12CH,銅・コンスタンタン熱電対),自記湿度計ロビッチ自記日射計,風速型指示風速計を用いた。(3)期間は、残暑厳しい10月22〜25日の4日間の快晴日で、自動記録で終始継続的に行われた。2.壁面緑化のふく射熱緩和効果一日の最も大きな温度変化は、緑化なし屋根面で、19.9℃(6:17)〜43.0℃(14:4)と23℃の変動があるのに対し、緑化住宅屋根面では終日22℃(6:14)〜25.7℃(16:44)と大きな変動はなく安定している。特に、13時〜15時には、両邸の差は最大23℃と著しい。直ぐに日射を受ける屋根面と、緑を施した場合とではふく射熱の差が大で、緑による遮へい効果の高さがうかがえる。(2)室内温の日変化は、緑化なし住宅が23.3℃〜29.7℃で6℃の変動に対し、緑化住宅では24.3℃〜28.7℃と変動が小さい。両邸における室温の差は17時に最大3℃となる。(3)但し屋根面温度の著しい差がそのまま室内温に反映される訳ではなく、天井ふところによる緩和作用も大きいことが伺える。(4)緑なし住宅の室温や天井内温が緑化住宅のそれと同様な値となるのは21〜22時頃からであり、日中のふく射熱がかなり遅くまで蓄積されていることを如実に示す。