著者
小塚 洋司 重松 靖 細井 雅敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11
被引用文献数
3

近年、我が国における癌患者の中で肺癌、乳癌患者数は増加する傾向にある。これらの癌に対し、これまでは主に外科的治療が行なわれてきた。しかし、特に乳癌の場合、癌の進行度によっては乳房温存療法が行なえない場合がある。このため放射線治療との併用としてのハイパーサーミア(温熱療法)の役割は大きく、その中でも無侵襲型で深部加温が可能な治療法が望まれている。また、筆者らはこれまで体内脂肪層を発熱させることなく深部加温を可能にする無侵襲型誘導加熱アプリケータを構成し、検討してきた。その結果、このアプリケータの無侵襲性と加熱特性が胸部癌に対し有効であると判断されるに至った.本報告では、このアプリケータを胸部癌に適用した場合の、アプリケータの配置や磁気遮蔽板の使用による加熱領域の制御法について理論、実験の両面から検討した結果について述べる。
著者
小塚 洋司
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1096-1102, 2004-11-01
参考文献数
13
被引用文献数
3

-色即是空.空即是色.-629年,秋八月,唐の玄奘三蔵は,長安を発ち仏法を求めて天竺(インド)に赴く.空に飛ぶ鳥なく,地に走獣,水草もなし.熱砂のタクラマカン砂漠を徒行し,氷雪春夏にも解けずといわれる標高七千メートルに迫る天山山脈を踏破して,天竺に至る苦行は想像を絶するものであったという.玄奘三蔵ときに29歳であった.16年の歳月を経て長安に戻った玄奘は,般若心経をインド語の原典から中国語に翻訳する.上記はその一仏説である.さて,磁性電波吸収体の主材料であるフェライトは,加藤与五郎,武井武雨博士によって,我が国で発明された誇るべき電気電子材料である.銅一亜鉛系のソフトフェライトが初めて作製されたのは,昭和5年のことであった.しかし,当時の未発達なエレクトロニクス技術環境下では,その実用化への道のりは,苦難の旅立ちにも似た険しいものがあったと伝えられている.本橋では,ソフトフェライトを中心とする電波吸収体技術について,基礎事項から説き起こし,電波吸収材としてのフェライト,電波吸収特性を支配する透磁率特性などについて述べた後,新しい電波吸収体の考え方として,筆者が提案している材料定数等価変換法について紹介する.とくに,電波吸収原理について,上記仏教哲理を踏まえての解説を試みている.
著者
小塚 洋司
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.1159-1166, 1997-10-01
参考文献数
33
被引用文献数
23

Demand for ferrite EM-absorbers is going to increase, particularly in the field of EMC (electro-magnetic compatibility) technology. They are used for anechoic chambers, for example, and to prevent TV ghosting,forged echos in ships' rader signals, and EM-wave leakage from various electric devices. The fundamental principle for the construction of a ferrite EM-wave absorber is based on the idea of a "magnetic resistive sheet" backed with a conductive plate. However, various types of ferrite absorber that depart from this principle have been developed recently. For instance, double-layered absorbers, consisting of carbon and ferrite materials, and grid ferrite absorbers are widely used for anechoic chambers. EM-wave absorber consisting of a concrete panel and a ferrite plate, or of a concrete panel containing ferrite particles to prevent TV ghosting, have been developed as materials for building walls. These ferrite materials include, sintered soft ferrite, rubber ferrite, plastic ferrite, and by-product ferrite. This paper first describes the fundamental principle of a ferrite absorber's constraction and reviews trends in research on ferrite EM-wave absorbers. In response to recent broad EMC technology trends in EM-absorbers, simple methods for improving and changing the frequency characteristics of ferrite absorbers are introduced, such as the use of magnetized ferrite, ferrite combined with other materials, and ferrite with small holes.
著者
小塚 洋司 折井 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.493, pp.85-90, 1998-12-18
被引用文献数
2

筆者らはこれまで、EMCの立場や周波数の有効利用の観点から、簡易な通信システムを提案してきた。本方式は、バーコードの原理を通信に応用したシステムであり「コードセンシング通信法式(COSCOS)」と称している。これまでこの方式の様々なセンシング方式を提案してきた。本報告では、バーコードの読み取り方式に磁界を用いているため耐環境性・機密性に優れる「磁気センサ」のセンシング感度の改善ついて理論ならびに静特性実験を行った結果について述べる。また、センサを筐体に入れシールドした場合についても特性の評価を行い、その総合的な特性から、従来のシステムに比べセンシング高、センシング感度の改善が出来たことついて述べる。