著者
小山 宗孝
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.707-713, 2014

金ナノ粒子を導電体基板表面に修飾すると,通常,導電体基板単独の場合とは異なる電気化学特性が発現する.特に,金をナノ化することで発現するバルクとは異なる電気化学特性や触媒特性を有効に利用すると,新しいタイプの修飾電極の構築が可能になり,電気化学分析の進展にも寄与できる.著者らのグループでは,2001年頃から,金ナノ粒子を修飾した酸化インジウムスズ電極の構築と応用を中心に,これまで検討を進めてきた.本総合論文では,著者らの2010年以降の金ナノ粒子修飾電極に関する研究の展開について,電気化学以外の共同研究成果や白金ナノ粒子に関する検討結果なども含めて概要をまとめる.特に,新たな研究の展開としては,金ナノ粒子とパラジウム基板電極の複合化や,キムワイプ片などの非導電性保持材料を用いた金ナノ粒子または白金ナノ粒子の電極界面の三次元的修飾などについて述べる.