著者
ONO Takahiro IIZAWA Yushin ABE Yoshinari NAKAI Izumi TERADA Yasuko SATOU Yukihiko SUEKI Keisuke ADACHI Kouji IGARASHI Yasuhito
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (Bunseki kagaku) = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.251-261, 2017-05
被引用文献数
32

Seven radioactive particles were separated from a soil sample collected at the Northwest region of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP). It has been pointed out that the soil is contaminated by radioactive materials emitted from reactor 1 of the FDNPP by the accident that occurred in March, 2011. The physical characteristics of these radioactive particles with –100 μm in diameter and non-uniform shape are clearly different from those of spherical microparticles, known as Cesium-balls, thought to be emitted from the FDNPP reactor 2. Three kinds of synchrotron radiation-based X-ray analyses (X-ray fluorescence analysis, X-ray absorption near edge structure analysis and X-ray diffraction analysis) were nondestructively applied to radioactive particles using a micro-focused X-ray beam at the SPring-8 to investigate their detailed chemical properties. Various elements related to fission products of nuclear fuel and components of the reactor were detected from the particles emitted from the FDNPP reactor 1 with an obvious heterogeneous elemental distribution. In particular, the chemical compositional feature of these particles was characterized by several elements (Sr, Ba etc.), which were easily volatilized in a reducing atmosphere. Although a main component of the particles was identified as silicate glass similar to the Cesium-balls, some crystalline materials were also found in microscopic regions containing Fe and other metallic elements. We concluded that these radioactive particles were emitted from reactor 1 to the atmosphere during 12th to 13th March, 2011. Our results suggest the fact that the nuclear fuel and the reactor vessels around the fuel were melted together at a very early stage of the accident. In addition, it was demonstrated that chemical compositional information of individual radioactive materials can be a new indicator as an alternative to the radioactive ratio to estimate the source of emissions.
著者
小山 宗孝
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.707-713, 2014

金ナノ粒子を導電体基板表面に修飾すると,通常,導電体基板単独の場合とは異なる電気化学特性が発現する.特に,金をナノ化することで発現するバルクとは異なる電気化学特性や触媒特性を有効に利用すると,新しいタイプの修飾電極の構築が可能になり,電気化学分析の進展にも寄与できる.著者らのグループでは,2001年頃から,金ナノ粒子を修飾した酸化インジウムスズ電極の構築と応用を中心に,これまで検討を進めてきた.本総合論文では,著者らの2010年以降の金ナノ粒子修飾電極に関する研究の展開について,電気化学以外の共同研究成果や白金ナノ粒子に関する検討結果なども含めて概要をまとめる.特に,新たな研究の展開としては,金ナノ粒子とパラジウム基板電極の複合化や,キムワイプ片などの非導電性保持材料を用いた金ナノ粒子または白金ナノ粒子の電極界面の三次元的修飾などについて述べる.
著者
武田 立守 吉田 滋 織田 佳代子 広瀬 信吾
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.643-648, 1983
被引用文献数
2

窒素レーザーを励起光源とする高感度な蛍光検出器を作製し,フローインジェクション分析法に応用した.このレーザーの光のエネルギーはピーク出力10kWの大きさを持っているため,盲蛍光も大きくなると考えられ,その影響を少なくする手段を考察した.盲蛍光の大きな試料として無処理の血清を,目的とする発蛍光物質としてジヒドロニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド(NADH)を選んだ.盲蛍光は主としてたん白質に起因すると考えられるため,O-(ジエチルアミノエチル)-[セルロース](DEAE)-セファロースを充てんしたカラムをフロー系に組み込み,たん白質は保持するがNADHは溶出してくる条件として30mM塩化ナトリウムを含有するグリシン緩衝液をキャリヤー液とした.その結果,血清の約5μを直接注入したとき盲蛍光の80%を除くことができ,残りの20%は反応試薬などで血清を17倍に希釈した液の約5μをフロー系に注入するとこで無視しうる程度の大きさとした.分析対象の一例として血清中の乳酸や乳酸脱水素酵素の測定などに応用した.
著者
中山 英一郎
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
vol.294, pp.475-483, 1999-06
参考文献数
30
著者
丸子,恒
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, 2006-03-05

The detection performance of a portable aspiration-type ion mobility spectrometer (ChemPro100, Environics) was investigated with nerve gases, blister agents, blood agents and related compounds. The vapors of sarin, soman, tabun were recognized as "Nerve (nerve gas)" after about 10〜20 s sampling, and the detection limits were below 0.1 mg/m^3. The vapors of mustard gas and lewisite 1 were recognized as "Blister (blister agent)" after about 10〜20 s sampling, and the detection limits were several mg/m^3. The gases of hydrogen cyanide and cyanogen chloride were not recognized as "Blood (blood agent)". The vapors of nerve gas simulants, such as dimethylmethylphosphonate and N, N-dimethylformamide, were recognized as "Nerve", and the vapors of blister agent simulants, such as 2-chloroethylethylsulfide, ethanol, toluence and chloroform, were recognized as "Blister". The other solvents were recognized as "Unknown chemical".
著者
吉野 彰
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
no.466, pp.580-584, 2013-10-05
参考文献数
3
著者
小川 邦康
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.2-10, 2019-01
著者
手嶋,紀雄
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, 2008-05-05

1回の試料注入(ワンショット)でアスコルビン酸(AA)とグルタチオン(GSH)を同時定量するフローインジェクション分析法を開発した.AAは,鉄(III)-1,10-フェナントロリン(phen)錯体を迅速に鉄(II)-phen錯体(λ_<max>=510nm)へと還元するが,GSHによる還元反応は遅い.本研究ではGSHによる還元反応が銅(II)の共存により著しく加速されることを見いだした.したがって,生成する鉄(II)-phen錯体の吸光度は,銅(II)非共存下ではAAのみの量,銅(II)共存下ではAAとGSHの総量に相当する.これらの反応をダブルフローセルを装着したフローシステムに導入した.その結果,AAはダブルフローセル内の第1セル室で検出され,その後,銅(II)を合流させてAAとGSHの合量を第2セル室で検出することが可能となった.最適条件下でAAは5×10^<-7>から5×10^<-6>M,GSHは2×10^<-6>〜1×10^<-4>Mの濃度範囲で同時定量することができた.試料処理速度は毎時45試料であった.本法を医薬品及び栄養補助食品中のAAとGSHの定量に応用し,良好な結果を得た.
著者
市川 貴紀 安井 孝志 高田 主岳 湯地 昭夫
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.749-752, 2009

Three solid-state ISEs (Cd, Pb, Cu) were evaluated for direct potentiometry of polyacrylate. Cd-ISE had a lower pH response but an appreciably high response to PA, while Cu-ISE had a remarkably high pH response but a rather low response to PA. Pb-ISE showed intermediate behaviors. These results suggest direct potentiometry of PA by simultaneous measurements of pH and the Cd-ISE response. Anions of foreign salts may cause positive errors by the interactions with Cd2+, whereas cations of salts may cause negative errors by the interactions with PA. The extent of such errors is, however, negligible in the detection of PA in the circulating water of cooling systems.
著者
塩山 昇平 山浦 順司
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
no.460, pp.221-227, 2013-04-05
参考文献数
16
著者
栗原 一嘉 鈴木 孝治
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
vol.328, pp.161-167, 2002-04-05
参考文献数
12
被引用文献数
4
著者
鈴木 康弘 杉田 律子 鈴木 真一 丸茂 義輝
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.825-830, 1997
参考文献数
25
被引用文献数
7 14

ひき逃げ事件で重要な物的証拠となる自動車用フロントガラスの微細片について, これに含まれる微量不純物をICP-MSで定量し, 分析値の比較によるガラス片相互の異同識別を試みた.マイクロ波加熱分解装置を利用して, 5mg以下のガラス片を粉砕せずに迅速に分解する条件を検討した.分析操作は以下のとおりである。試料約10mgを精ひょうしでテフロン製密閉容器に移し, フッ化水素酸及び過塩素酸各0.5mlを加えた後, マイクロ波加熱によりガラス片を完全に分解した.これに硝酸2ml及び内標準として10μg/mlのPd溶液0.1mlを加え, イオン交換蒸留水で25mlに希釈して測定用試料溶液を調製した.異同識別に有効な不純物として, Co, Rb, Sr, Zr, Ba, La及びCeの7元素が検出された.本法によるNIST標準試料の分析値は, CoとZrを除いて保証値と良好な一致を示した.本法を実際のフロントガラスの分析に応用したところ, 同一試料内での分析値の変動は異なる試料間の差異と比較して十分に小さく, 分析値の比較はガラス片相互の異同識別に有効であった.
著者
松本 浩資 一瀬 光之尉 小島 次雄
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.202-206, 1988

三角光路干渉計にイメージインテンシファイヤー(I.I.)を結合させて,フーリエ変換分光法の,パルス性光源と面光源への適応性を調べた.前者の特性は流動分析系のような高速測定のため,後者の特性は高速測定において励起密度の低減を図るため必要である.近接型I.I.は全く画像ひずみを生じなかったが,高ゲインの管型のI.I.では干渉じまが不等間隔にサンプリングされ,ひずんだスペクトルを与えることが分かった.He-Neレーザーの等厚干渉じまを基準にフーリエ変換を修正することによって解決した.検出系の空間周波数応答の影響を検討し,又面光源への適応性を確認した.347nm 10nsのたった一発のレーザーパルスで,アセトニトリルとメタノールのラマンスペクトルが得られることが分かった.蛍光・レイリー光除去に関する新しい可能性に言及した.
著者
平井 昭司
出版者
日本分析化学会
雑誌
ぶんせき (ISSN:03862178)
巻号頁・発行日
no.438, pp.315-322, 2011-06-05
被引用文献数
1
著者
喜多 知子 森田 秀芳 梅野 真由美 喜多 青三 下村 滋
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.547-552, 1989
被引用文献数
3

ICP-AESを用いて,血清中の9元素(Mg,Ca,Fe,Cu,Zn,P,Si,Na,K)を同時測定するための前処理法として除タンパク法を検討した.除タンパク試薬としては,血清と混合後の終濃度が,硝酸は0.28M,トリクロロ酢酸は5.0%になるような混液が適当であることが分かった.本法による前処理は,血清0.5mlに精製水1.5mlを加えて混合し,これに除タンパク試薬4.0mlを加えてかき混ぜ,放置後遠心分離し,その上清をICP-AESの検液とする.前処理法として,よく使用されているテフロン密閉容器を用いた分解法との比較,又,自動化学分析機における測定値との比較を行い,本法は,ICP-AESで測定する血清試料の前処理法として有用な方法であることが分かった.本法を用いて,健常者や透析患者血清の前処理を行い,満足すべき結果を得た.