- 著者
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小山 誠次
- 出版者
- The Japan Society for Oriental Medicine
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.469-475, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
- 参考文献数
- 39
- 被引用文献数
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帰脾湯及び加味帰脾湯の出典について論考した。今日一般的に帰脾湯は人参, 白朮, 茯苓, 竜眼肉, 酸棗仁, 黄耆, 遠志, 当帰, 木香, 甘草, 生姜, 大棗と処方される。『済生方』の帰脾湯には当帰, 遠志が配合されず,『玉機微義』では『済生方』処方に当帰を加味した帰脾湯が記載され,『薛氏医案』中の諸書では更に遠志も加味した処方が記載されている。一方, 加味帰脾湯は『薛氏医案』中の諸書にあっては, 柴胡, 山梔子加味の処方, 柴胡, 牡丹皮, 山梔子加味の処方, 牡丹皮, 山梔子加味の処方の3種類が記載されている。いずれも我が国で江戸時代の通用処方書に採用されていたが, 今日では柴胡, 山梔子の加味方が最も多く処方される。これは恐らく『勿誤薬室方函』及び『勿誤薬室方函口訣』の影響によるものではないかと思われる。総じて, 出典としては帰脾湯も加味帰脾湯も共に『済生方』,『玉機微義』,『薛氏医案』をもって充てるのが順当である。