著者
武 仁 広村 桂樹 田村 遵一 楢原 伸裕 沢村 守夫 村上 博和 小林 紀夫 小峰 光博 成清 卓二 岡村 信一
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.501-505, 1991-05-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
11

症例は25歳, 男性.1985年頃より続く頑固な下痢, 全身倦怠感を主訴として1990年3月当科に入院した.身体所見では特に異常を認めなかったが, 低タンパク血症 (5.1g/dl) と正球性正色素性貧血 (11.99/dl) を認めた.小腸造影にてskip lesion, 狭窄, cobblestone appearanceを認め, 臨床的に小腸型クローン病と診断した.1990年4月より液体成分栄養剤を用いた経腸高カロリー療法を開始した.抗炎症剤の投与は行わなかったが, 臨床症状や異常検査所見は4週間以内に軽快した.寛解状態に達した後, 経腸栄養剤をすこしづつ常食に変更していったが, 症状や検査値異常の再出現はみられなかった.経腸栄養療法はクローン病患者に対して有効な治療法と考えられた.