著者
小島 道一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.140-147, 2011 (Released:2015-02-21)
参考文献数
8

バーゼル条約の発効した1992年から19年,先進国から発展途上国への有害廃棄物の輸出を禁止するBan改正案の採択から16年が経とうとしている。この間,有害廃棄物の輸出入をとりまく状況は大きく変化してきた。資源価格の高騰から,廃棄物を資源として利用する意味の重要性が高まっている。また,一部の途上国で有害廃棄物の処理・リサイクル施設の整備が進み,先進国と途上国を二分して,規制の枠組みを考える意味が失われてきている。適正処理・リサイクル施設の状況,不適正なリサイクル業者の存在などを考慮に入れながら,廃棄物を資源として有効利用していくため,バーゼル条約を中心とする越境移動の規制についての見直しを行う必要が出てきている。実際に越境移動の規制見直しを行うためには,締約国会議等で上記のような問題意識を各国からの参加者が共有できるかが重要であると思われる。