著者
遠藤 薫 吹角 隆之 足立 準 小嶋 益子 青木 敏之 吉田 政弘 森田 和矢 成 隆光 辻野 守典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1013-1024, 1997
被引用文献数
3

1. 3〜12歳のアトピー性皮膚炎患者30名を無作為に2群に分け, 1年間にわたって患者の部屋及び寝具を掃除することによって, ダニ数が減少し, 患者の症状と検査値の改善に寄与するかを, 二重盲検試験で検討した。2. 前後のダニ数は, モニター群とコントロール群の両群とも, 患者の部屋の床で有意に低下していた。終了時, モニター群の寝具でより大きいダニ数の低下の傾向が認められ, 特に掛け布団において有意なダニ数の差異が認められた。3. 終了時, 症状スコアはモニター群で有意に改善していたが, コントロール群ではそうではなかった。両群間で症状スコアの変動率を分析すると, モニター群においてより軽快傾向が見られたものの有意差は認められなかった。4. 血清IgE値は掃除前後で両群とも有意差はなかった。Dermatophagoides farinae (Df), D. pteronyssinus (Dp) に対するRAST値は, 有意差はなかったが, モニター群でより大きい低下がみられた。5. ダニ数の低下は, 臨床症状の改善とダニRAST値の低下に寄与する可能性が示唆された。
著者
大間 知典子 笹部 哲生 小嶋 益子 足立 準 遠藤 薫 吹角 隆之 青木 敏之
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.796-799, 1994
被引用文献数
15

重症アトピー性皮膚炎患者240例の眼疾患について考察を行った. 対象は, 男性120例, 女性120例で平均年齢18.9±7.2歳であった. 気道のアトピー性疾患の合併は, 気管支喘息が27.9%, アレルギー性鼻炎が29.6%であった. 各症例につき眼科的な自覚症状の有無に関わらず, 眼科的検査を施行し, 眼合併症を調査した. 結果は134例 (55.8%)に何らかの眼合併症がみられた. その内わけはアレルギー性結膜炎28.3%, 白内障17.9%, 春季カタル2.1%, 網膜剥離1.3%, 円錐角膜0.8%, 網膜裂孔0.8%, 眼瞼内反症2.5%, 角膜びらん6.3%であった. 症状や病態によっては, 眼科治療が必要とされるものもあり, 眼症状を訴えない患者に対しても, 早期冶療の目的から, アトピー性皮膚炎の患者には, 眼科的な検査を積極的に行う必要があると思われる.