著者
山崎 泰正 小川 克明 金勝 廉介
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.228-235, 1992-06-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDSPAGE) によりカイコガコクナーゼを分離するとともに, その作用特異性について酸化インシュリンB鎖を基質に用いて調査し, 次の結果を得た。1) 小顋のコクナーゼは, ゲルろ過法と陽イオン交換法において二つの主要な280nmの吸収ピークが現われ, 逆相法においても同様に二つの主要な220nmの吸収ピークが現われた。これらのピークのうち, 大きい方のピークに吸収曲線と対応するプロテアーゼ活性を認めた。活性ピーク面積は全吸収ピークのそれぞれ80%と66%, 88%であった。推定分子量はゲルろ過法で26,400, SDS-PAGEで28,000であった。2) 脱繭液中に含まれるプロテアーゼは, ゲルろ過法および陽イオン交換法において小顋のコクナーゼと極めて近い位置に溶出しSDS-PAGEゲル上でも, このプロテアーゼ活性分画のバンドの位置は小顋のコクナーゼと等しかった。3) 逆相法によって, 酸化インシュリンB鎖をコクナーゼ処理して得られたフラグメントが, トリプシン処理して得られたフラグメントと等しい位置に溶出することを確認した。したがって, コクナーゼの作用特異性はトリプシン様であると考えられた。