- 著者
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小川 公明
- 出版者
- 日本組織適合性学会
- 雑誌
- 日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.3, pp.185-192, 2016 (Released:2016-12-29)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
-
2
HLAアリルの表記法とHLA抗原(HLA型)との関係についての理解は重要です。HLAにはヒト遺伝子の中でも最も著名な遺伝的多型性が認められますが,人種や民族によってHLA対立遺伝子(アリル)の頻度が異なっています。また,HLAは親から子へと遺伝し,遺伝形質がそのまま表現形質となる共優性を特徴とします。さらに,複数のHLA遺伝子座のアリル間に強い連鎖不平衡が認められることがあり,これらがひとつながりのハプロタイプを形成し,人種あるいは民族に特徴的なハプロタイプとして維持されています。一方,自己免疫疾患や慢性炎症性疾患では特定のHLAアリルとの関連が認められることがありますが,これはHLAが疾患の感受性や抵抗性を遺伝的に制御していることを示唆します。