著者
[ウネ]村 泰樹 野尻 卓也 小川 匡市 三澤 健之 池内 健二 山崎 洋次
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.142-145, 2001-02-01
被引用文献数
9

症例は71歳の女性.22年間の血液透析歴がある.以前より左側腹部を中心とした腹痛が時にあり, 大腸憩室および虚血性腸炎と診断されていた.1997年に大腸鏡下生検を施行し消化管アミロイドーシスと診断された.本年1月, 下腹部痛のため緊急入院翌日に下腹消化管穿孔と診断し緊急手術を施行した.直腸Ra後壁に径約1cmの穿孔があり, 同部には径約3cmの硬便が存在していた.穿孔部を含む大腸部切除および人工肛門造説術を施行した.粘膜下の小血管壁などにびまん性に β_2-microglobulin 染色陽性のアミロイドの沈着を認めた.穿孔機序としては憩室炎, 硬便による機械的圧迫の他に, アミロイドによる腸壁虚血の関与が示唆された.長期透析患者では, 透析アミロイドーシスを消化管穿孔の危険因子として認識する必要がある.
著者
長谷川 拓男 小川 匡市 市原 恒平 青木 寛明 又井 一雄 吉田 和彦 矢永 勝彦
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.648-653, 2017 (Released:2018-08-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は57歳男性.下痢,発熱,腹痛を主訴に入院となった.急性腸炎の診断で保存的治療を行ったが,第5病日に腹膜炎症状が出現し緊急開腹手術を行った.開腹所見では盲腸から横行結腸まで浮腫状で著明に拡張し腸管壁は脆弱化しており,結腸亜全摘術+回腸人工肛門造設術を行った.術後は敗血症性ショックによる急性循環不全,呼吸不全に陥り人工呼吸器に装着し集中治療室で治療を行った.術後3日目に糞便の顕微鏡検査でアメーバ性大腸炎と診断され,メトロニダゾールの投与を開始した.その後,全身状態は急激に改善し,術後49日目に軽快退院した.アメーバ性腸炎は近年日本においても増加傾向である.診断に難渋する下痢,腹痛症例に対し本疾患を念頭におき診療を行うことが重要であると考えられた.