著者
小川 彩子
出版者
学習院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

musicの語源であるラテン語のmusicaおよび、さらにその語源である古典ラテン語のムーシケーの語義的変遷を調べることによって、いかにして古典ラテン語のムーシケーという語が音楽の意味に収斂していくのかを調べることが、本研究の趣旨である。まず、古典ギリシア語のムーシケーには、原義的に「神の言葉を伝えるもの」という意味があることをプラトンの読解から明らかにした。そのうえで、アウグスティヌス『音楽論』においてmusicaの意味がかなり限定されることを捉え、後期アウグスティヌスにおいて「神の言葉を伝えるもの」が音楽に他ならなかったことを明らかにした。