著者
龍 祐吉 小川内 哲生 高瀬 加容子
出版者
日本応用教育心理学会
雑誌
応用教育心理学研究 (ISSN:09108955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.3-17, 2022-08-31 (Released:2022-10-03)
参考文献数
41

これまでの研究においては,学業的延引行動と学業的不正との関係について他の関連要因を交えて詳細な検討が行われていなかった。本研究の目的は大学生の学業的不正に与える自尊感情,内発的動機づけ,学業的延引行動,試験準備の遅延,及び学年の影響について検討することであった。307名の女子大学生(平均年齢20.3歳, 標準偏差1.06歳) に質問紙法による調査を実施した。パス解析の結果,第1 に学年が上がるにつれて学業的不正は減少する。第2に内発的動機づけの低下は直接的及び間接的に学業的延引行動を促し,引き続いて試験準備を遅らせることを通じて学業的不正を助長すること,最後に自尊感情は学業的不正に直接的に影響を与えないが,学業的延引行動そして引き続いて試験準備を遅らせることによって学業的不正を促す可能性があることの結果が見出された。先行研究との比較に基づいて本研究の結果に関する解釈を行い,今後の課題についても言及した。