著者
若月 利之 小村 修一 安部 裕冶 泉 一成
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.335-344, 1989-08-05
被引用文献数
8

黒ボク土,赤色土,マサ土,ゼオライト,炭素減資材(ジュート,木箱等)を層状,階段状に充填して多段土壌層構造をもつ生活排水浄化装置(多段土壌層法と呼ぶ)を作り,その浄化能力を約2年間にわたって試験した.その結果,本研究で提案した多段土壌層法を用いた浄化装置のうち,黒ボク土,マサ土およびゼオライトを積層した装置は,平均濃度,BOD 220 mg/l,COD 88 mg/l,T-N 56 mg/l,T-P 22 mg/l の生活排水を,2年間の実験期間中目詰まり現象は起きなかった.また,炭素源としてジュート袋を挿入した装置は窒素除去能が89%に向上した.多段土壌層法による以上の家庭排水装置は,高い浄化能を長期間安定して維持した.すなわち,2年間の平均で4装置ともBODは4 mg/l 以下,CODは3~7 mg/l,T-Pは装置4を除き0.5 mg/l以下,T-Nは装置2を除き7~16 mg/lであった.したがって,浄化処理水の水質として現在立てられている最高水準の目標値,BOD 10 ppm以下,COD 15 ppm 以下,T-N 10 ppm 以下,T-P 1 ppm 以下を満足するものであることを認めた.