著者
新井 洸三 中村 国昭 小松 剛 中川 鶴太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.1438-1442, 1968-09-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
20
被引用文献数
5

高重合度ポリスチレン(分子量約400~600万)のメチルエチルケトン,ベンゼン,トルエンの各2%溶液を毛細管中で急速に流過させ,1×104から50×104sec-1までの種々の速度勾配の下における溶液中の高分子鎖の切断について調べた。その結果, 同一の溶媒を用いた系では速度勾配が大きいほど主鎖の切断を激しく受け, 試料ポリスチレンの分子量が減少することがわかった。さらに切断に対して良溶媒よりは貧溶媒, 高粘性溶媒よりは低粘性溶媒のほうがより大きな影響を及ぼす傾向があ ることも見い出した。また,種類の異なる溶媒を用いた実験では,切断に対する溶媒能の効果と溶媒の粘性率の効果とが確実に分離され得ないという欠点があるので,前者の影響を独立して調べる目的で組成比率を変えたベンゼンーメタノール混合溶媒系で同様な実験を行った。この結果から良溶媒より貧溶媒のほうが切断に関してより大きな影響を及ぼすという前記の結論を裏づけることができた。