著者
野﨑 尋意 小松 成綱 橋本 喜夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.1539-1544, 2021-05-20 (Released:2021-05-20)
参考文献数
10

2020年11月下旬,当院で患者計181人が感染する事態となるCOVID-19クラスターが発生した.うち,皮疹が出現したのは4人だった.全例が何らかの基礎疾患を有しており,中等症以上のCOVID-19肺炎を発症した.皮疹は肺炎に対するステロイド治療の終了や減量に伴って出現しやすい傾向があり,体幹部に多く,性状は一部網状を呈する,紅斑性皮疹あるいは蕁麻疹だった.COVID-19関連皮疹は患者の基礎疾患に起因する皮疹や薬疹などとの鑑別が重要だが,その鑑別は時に困難である.
著者
坂井 博之 小松 成綱 松尾 忍 飯塚 一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1153-1158, 2002-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
29

塩酸ミノサイクリン長期内服後に発症した薬剤性血管炎の2例を報告する.症例1は31歳男性.2年前から臀部慢性膿皮症の診断で塩酸ミノサイクリンを内服中,両下腿に紅褐色の小指頭大までの斑状紅斑および線状の紅斑が出現し,リベドを呈した.症例2は27歳女性.5年8カ月前から好酸球性膿疱性毛包炎のため塩酸ミノサイクリンを内服中,四肢の関節痛,微熱とともに四肢に淡紅色の網状紅斑,皮下結節が出現した.両症例ともに病理組織学的に血管炎の存在が示され,低値ではあるがantineutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)が検出された.両症例ともに塩酸ミノサイクリンの内服中止のみで臨床症状は速やかに改善した.近年,薬剤性血管炎においてANCA陽性例が特徴的な疾患群として注目されている.自験例を含む皮膚症状を呈した塩酸ミノサイクリンによる血管炎11例の集計では平均35カ月で発症していた.ミノサイクリンを含め血管炎をひきおこす可能性のある薬剤を投与中は,長期経過後も注意深い観察が必要と考えられる.