著者
小松 浩平 境 健一郎 飯野 智之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.196-203, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
8

2050 年カーボンニュートラル必達のためには蓄電池 (LIB) を最大限活用する必要があるが,素材の開発やリサイクル等の資源循環を含めた電池サプライチェーン全体の強化が必須となる。LIB の処理においては,発火等の安全面での懸念がある他,適切な処理をしないと金属資源を回収できないことから,安全で効率的なリサイクルシステムの構築が鍵となる。太平洋セメント (株) (当社) と松田産業 (株) は 2011 年よりセメント製造設備を活用した LIB のリサイクル技術の開発を進めており,2017 年には当社グループ会社である敦賀セメント (株) 内に焙焼設備を併設し,世界初となるセメント製造工程を活用した実証試験を開始した。2020 年からは産業廃棄物として排出される LIB のリサイクル事業を実施しており,これまでに 40 種を越える車載用の大型 LIB や定置用 LIB を焙焼した。今後も本システムのさらなる規模拡大による『低環境負荷処理』『金属資源循環』を通じ,LIB の資源循環に貢献したい。