著者
石田 聡 吉本 周平 幸田 和久 小林 勤 白旗 克志 土原 健雄
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.217, pp.1-12, 2015-03

トンガ王国ババウ群島ババウ島およびハアパイ諸島リフカ島において,淡水レンズ地下水中の電気伝導度(EC)測定およびイオン濃度分析を行った。調査の結果,ババウ島においては一部の揚水井戸で150mS/mを超えるECが観測された。リフカ島においては,水道水源施設である暗渠(ギャラリー)および井戸のECは150mS/mを下回っていたが,塩水化によって揚水を停止した施設が存在した。測定結果と既往の記録等により地下水塩水化の要因を分析したところ,ババウ島ではそれまで分散して配置されていた揚水用の井戸が減少し,1箇所あたりの揚水量が増加したことでアップコーニングが発生したと推定された。リフカ島では,ギャラリーの一部が海岸近くに配置されていることでECが高くなっていると推定された。塩水化の抑止のためには,ババウ島においては井戸の分散が,リフカ島についてはギャラリーを淡水域の中心部に再配置することが有効であると考えられた。