- 著者
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藤田 きみゑ
長谷川 美幸
藤田 麻里
小林 寅〓
小笹 晃太郎
渡辺 能行
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.99, no.4, pp.379-385, 2002-04-05 (Released:2008-02-26)
- 参考文献数
- 37
- 被引用文献数
-
1
今回,われわれは古くより民間薬として用いられてきた梅肉エキスのHelicobacter pylori(H.p.)に対する殺菌効果を検討した.梅肉工キスの主成分は約3296のクエン酸1196がリンゴ酸などで,pHは強酸性である,この梅肉エキスの0.156%,0.313%,0.625%,0.9%各濃度工キス剤溶液に対して,胃粘膜由来のH.p.臨床分離株10株を各々濃度溶液にて培養し,菌培養MIC(最小発育阻止濃度)測定を行った.その結果,H.p.10株のうちH.p.4株に対しては梅肉工キス剤濃度0.156%以下で,また,H.p.6株に対してはエキス剤濃度0313%で強い抗菌力を示した.さらに,梅肉エキス0.3%,0.9%濃度溶液に混和されたH.p.臨床分離株10株の生理的食塩水懸濁液は,5分後および15分後にてH.p.菌量の99.995%から99.999%が減少し強い殺菌効果を認めた.これ等結果より,梅肉エキスは安価で副作用のないH.p.を予防し得る食品と考えられた.