著者
小笹 晃太郎 竹中 洋 高木 伸夫 青池 晟
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1361-1368, 1995
被引用文献数
9

一農山村の小学校児童全員(405人)を対象としてスギ花粉による感作およびスギ花粉症の頻度および危険要因を明らかにする目的で質問票と血清検査による横断的検討を1994年4月に行った. スギ花粉特異的IgE抗体(スギ抗体)陽性者はCAP-RASTスコア1以上が39%, 2以上が35%であった. スギ花粉症有病率はスギ抗体陽性者で確定的症状の者(3・4月に3週間以上症状の続く者)が8%, 疑い症状の者(持続期間は不問)が22%であった. 総IgE抗体価が基準値を越える(250U/ml以上)者は26%であった. スギ抗体価と総IgE抗体価には強い正の相関がみられた. 本人や家族のアレルギー疾患の病歴は, スギ抗体価よりも総IgE抗体価との関連が強く, また, スギ花粉症症状よりもスギ花粉症以外のアレルギー様症状との関連が強かった. 家族による間接喫煙と石油ストーブの使用は, スギ抗体高度陽性と負の関連がみられたが, 中等度陽性では関連がみられなかった. アレルギー素因と喫煙習慣が関連することによる交絡のほか, 鼻粘膜におけるアレルギー反応の特殊性を考慮する必要もあると考えられた.
著者
藤田 きみゑ 長谷川 美幸 藤田 麻里 小林 寅〓 小笹 晃太郎 渡辺 能行
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.379-385, 2002-04-05
参考文献数
37

今回,われわれは古くより民間薬として用いられてきた梅肉エキスの<I>Helicobacter pylori</I>(<I>H.p</I>.)に対する殺菌効果を検討した.梅肉工キスの主成分は約3296のクエン酸1196がリンゴ酸などで,pHは強酸性である,この梅肉エキスの0.156%,0.313%,0.625%,0.9%各濃度工キス剤溶液に対して,胃粘膜由来の<I>H.p</I>.臨床分離株10株を各々濃度溶液にて培養し,菌培養MIC(最小発育阻止濃度)測定を行った.その結果,<I>H.p</I>.10株のうち<I>H.p</I>.4株に対しては梅肉工キス剤濃度0.156%以下で,また,<I>H.p</I>.6株に対してはエキス剤濃度0313%で強い抗菌力を示した.さらに,梅肉エキス0.3%,0.9%濃度溶液に混和された<I>H.p</I>.臨床分離株10株の生理的食塩水懸濁液は,5分後および15分後にて<I>H.p</I>.菌量の99.995%から99.999%が減少し強い殺菌効果を認めた.これ等結果より,梅肉エキスは安価で副作用のない<I>H.p</I>.を予防し得る食品と考えられた.
著者
八田 宏之 東 あかね 八城 博子 小笹 晃太郎 林 恭平 清田 啓介 井口 秀人 池田 順子 藤田 きみゑ 渡辺 能行 川井 啓市
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.309-315, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
20

この研究では, 大学および職域においてhospital anxiety and depression scale (HAD)の日本語版の妥当性と信頼性を検討した.大阪府と京都府において, 1983年に, 106名の学生と62名の勤労者を対象に調査は行われた.信頼性を決定するために, アイテム間相関と内的一貫性を求めた.STAIとSDSを用いて共存的妥当性を調べた.両者の集団において, 感情障害の頻度は19〜26%であった.Cronbachのα係数は, 不安尺度に関して0.8であったが, 抑うつ尺度に関しては0.5以上であった.HADの不安尺度とSTAI得点とのSpearmanの係数は, 学生の場合0.65であり, 勤労者の場合0.63であった.HADの抑うつ尺度とSDSとの同係数は学生の場合0.46であり, 勤労者の場合0.50であった.HAD日本語版は, 女性において感情障害スクリーニング法として有用であると考える.
著者
小笹 晃太郎 鷲尾 昌一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.18-24, 2009 (Released:2014-06-13)
参考文献数
19

インフルエンザ予防接種は,インフルエンザに罹患することによって重篤な合併症を生じやすい高リスク者を守るという考え方に基づいて勧奨されているが,高齢者でのインフルエンザ予防接種の有効性は,無作為化対照試験が少なく観察研究に負うところが多く,観察研究にはその実施上種々の課題がある。まず,評価のアウトカムは,できるだけ診断の特異度が高く,誤分類の小さいものが望ましい。しかし,医療機関で診断されたインフルエンザをアウトカムとすると,特異度は高いが医療機関への受診行動や医療機関での診断過程で,ワクチン接種群と非接種群でのインフルエンザ診断の精度に差異の生じることが考えられる。したがって,このような差異的誤分類を避けるために,特異度が比較的高くなくて非差異的誤分類が生じるアウトカムであっても,接種群と非接種群から同じ精度で把握するほうが,正確な評価の観点から望ましい場合もあると思われる。 高齢者を対象としたインフルエンザ予防接種の有効性を評価する従来の観察研究の結果から,ワクチン接種者は非接種者に比べてインフルエンザ罹患や死亡等のアウトカムを生じにくい低リスク者が多く,そのためにワクチンの有効性が過大評価されているのではないかという疑問が指摘されている。このような偏りや交絡を評価して調整するために,インフルエンザ流行期と非流行期,ワクチン合致度の高いシーズンと低いシーズン,大規模流行シーズンと小規模流行シーズン,および特異度の高いアウトカムと低いアウトカムを使用することで有効性の比較を行うことが求められる。いずれも後の群で有効性が低くなることが期待され,そうでない場合には偏りや交絡が残されている可能性が高いので,それらの偏りや交絡を除去して得られる高リスク因子を見いだす必要がある。その結果として見いだされたインフルエンザによる死亡が生じやすい高リスク者,たとえば,基礎疾患と機能性障害を併せ持つような人たちでの有効性の評価と,その人たちに対する接種を進めていくことが望まれる。
著者
藤田 きみゑ 長谷川 美幸 藤田 麻里 小林 寅〓 小笹 晃太郎 渡辺 能行
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.379-385, 2002-04-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
37
被引用文献数
1

今回,われわれは古くより民間薬として用いられてきた梅肉エキスのHelicobacter pylori(H.p.)に対する殺菌効果を検討した.梅肉工キスの主成分は約3296のクエン酸1196がリンゴ酸などで,pHは強酸性である,この梅肉エキスの0.156%,0.313%,0.625%,0.9%各濃度工キス剤溶液に対して,胃粘膜由来のH.p.臨床分離株10株を各々濃度溶液にて培養し,菌培養MIC(最小発育阻止濃度)測定を行った.その結果,H.p.10株のうちH.p.4株に対しては梅肉工キス剤濃度0.156%以下で,また,H.p.6株に対してはエキス剤濃度0313%で強い抗菌力を示した.さらに,梅肉エキス0.3%,0.9%濃度溶液に混和されたH.p.臨床分離株10株の生理的食塩水懸濁液は,5分後および15分後にてH.p.菌量の99.995%から99.999%が減少し強い殺菌効果を認めた.これ等結果より,梅肉エキスは安価で副作用のないH.p.を予防し得る食品と考えられた.
著者
杉山 裕美 三角 宗近 岸川 正大 井関 充及 米原 修治 林 徳真吉 早田 みどり 徳岡 昭治 清水 由紀子 坂田 律 グラント エリック J 馬淵 清彦 笠置 文善 陶山 昭彦 小笹 晃太郎
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.149-149, 2009

【目的】放射線影響研究所は、原爆被爆者コホート(寿命調査集団)において、病理学的検討に基づき、1987年までに罹患した皮膚癌の放射線リスクを検討し、基底細胞癌に放射線リスクがあることを報告している。本研究では観察期間を10年延長し、皮膚癌の組織型別罹患率の放射線リスクを再検討した。<br>【方法】寿命調査集団120,321人のうち、原爆投下時に広島市、長崎市とその周辺で被爆し、放射線線量推定方式DS02で被爆放射線量が推定されている80,158人を対象とした。皮膚癌は1958年から1996年までに登録された症例について病理学的な検討を行い、第一癌を解析の対象とした。ポワソン回帰により、皮膚癌における放射線の過剰相対リスク(ERR=Excess Relative Risk)を組織型別に推定した。<br>【結果】寿命調査集団において、336例の皮膚癌が観察された。組織型別には悪性黒色腫(n=10)、基底細胞癌(n=123)、扁平上皮癌(n=114)、ボウエン病(n=64)、パジェット病(n=10)、その他(n=15)であった。線量反応に線形モデルを仮定しERRを推定したところ、基底細胞癌について統計的に有意な線量反応が観察された。前回の解析(1987年までの追跡)ではERR/Gyは1.8(90%信頼区間=0.83-3.3)であったが、今回の解析ではERR/Gyは 2.1(95%信頼区間=0.37-1.2, P<0.01)であった。さらに基底細胞癌の線量反応について赤池情報量規準(AIC)に基づき検討したところ、0.6Gy(95%信頼区間=0.34-0.89)を閾値とし、傾きが2.7(95%信頼区間=1.1-5.1)とする閾値モデルがもっともよく当てはまった(ERR at 1 Gy = 1.1、95%信頼区間=0.43-2.05)。また基底細胞癌においては被爆時年齢が1歳若くなるほどリスクが有意に10%上昇した。<br>【結論】皮膚表皮の基底細胞は放射線に対する感受性が高く、特に若年被爆者において放射線リスクが高いことが確認された。また基底細胞癌における線量反応の閾値は、1Gyよりも低く、0.6Gy であることが示唆された。
著者
小笹 晃太郎 竹中 洋 浜 雄光 安田 誠 加藤 則人
出版者
(財)放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

京都府南部のある町の唯一の公立小中学校の児童生徒を対象として2008~2010 年の毎年5月に質問票による症状の調査と血清検査を行った(対象者数は277-300人で受験者は232-242人)。スギ花粉への曝露は各年の2~4月のダーラム式捕集法によるスギ花粉飛散量の毎日の合計数で評価した。スギ花粉特異的IgE 抗体が陽性の者は毎年約55%であり、抗体が陽性でその年の3~4月に目または鼻のアレルギー症状が3週間以上持続したスギ花粉症確定的有症状者は19~25%であり、スギ花粉飛散量と比例していた。
著者
小笹 晃太郎 竹中 洋 浜 雄光
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

京都府南部のあるの町の唯一の公立小中学校の児童生徒を対象として、1994年より継続実施している質問票によるスギ花粉症症状および背景因子等の調査と血清中IgE抗体測定を行った。スギ花粉飛散量はダーラム式花粉捕集器による自然落下花粉数を測定し、2〜4月の総和をその年の飛散量とした。スギ花粉IgE抗体陽性者(CAPスコア1以上)は、スギ花粉症少量飛散年では40数%程度であり、多量飛散年では60%前後にまで増加した。ダニIgE抗体陽性者はおおむね40%〜50%であった。スギ花粉抗体が陽性で各年3〜4月にスギ花粉症様症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、鼻がかゆい、目がかゆい、涙が出る、目がごろごろするのいずれか)が3週間以上続く者を「スギ花粉症確実者」とすると、確実者はスギ花粉症少量飛散年では15%程度であり、多量飛散年では20数%に増加した。当該症状が3週間続かないスギ花粉症疑い者は16%〜21%であったが、スギ花粉飛散量の影響を受けにくく、非特異的症状がかなり含まれていると考えられた。2001年から調査している疾患特異的QOLも、スギ花粉飛散量との若干の関連および血中スギ花粉特異的IgE抗体価との強い関連を示した。また、各種の処置や治療の有用性について、マスクや市販の内服、点鼻、点眼薬、医療機関でのくすりの塗布や吸入は「少し役立った」人が最も多く、医療機関での内服薬、点鼻薬、点眼薬処方が「大変役だった」人が多かった。また、過去14年間の当該地域でのシーズンごとのスギ花粉飛散量の変動と、対象者の血清中スギ花粉およびダニIgE抗体価を個人単位で縦断的に観察することによって、スギ花粉による抗原曝露が、当該抗原特異的IgE抗体だけでなく、他の抗原特異的IgE抗体(ダニ)の産生をも促進させることが集団的数量的に示された。この傾向はスギ花粉に強く曝露されているものほど強かった。