著者
海道 利実 濱口 雄平 奧村 晋也 小林 淳志 白井 久也 上本 伸二
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.822-828, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1

サルコペニアとは、筋肉量の低下に筋力の低下または身体機能の低下を伴う病態である。その成因によって、加齢に伴う筋肉量の減少である一次性サルコペニアと、活動性の低下 (廃用性萎縮) や低栄養、臓器不全や侵襲、腫瘍などの疾患に伴う筋肉量の減少である二次性サルコペニアに分類される。サルコペニアは生命予後に影響し、特に消化器外科領域においては、手術患者の高齢化による一次性サルコペニアと低栄養や担がん状態、手術侵襲などによる二次性サルコペニアを伴う患者が増加しており、今後、ますます重要な問題となるであろう。事実、最近、消化器領域を中心に、サルコペニアの意義に関する論文が急増している。そのほとんどが、術前サルコペニアは予後不良因子であるという論文である。したがって、今後、サルコペニアをターゲットとした栄養・リハビリテーション介入が、消化器がん治療成績向上の新たなブレークスルーになると期待されよう。