著者
善本 裕之 吉田 聡 金井 圭子 小林 統
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.605-612, 2018-08-20 (Released:2019-08-20)
参考文献数
42
被引用文献数
1

ビール酵母には,エールやヴァイツェンなどの製造に用いる上面発酵酵母とラガー製造に用いる下面発酵酵母の2種類が存在する.下面発酵酵母は,上面発酵酵母と比較して,低温での増殖・発酵性に優れ,高いエステル生成能,発酵終了後の凝集などの特性をもち, 2種類の酵母(Saccharomyces cerevisiaeとSaccharomyces eubayanus)に由来するサブゲノムをもつ異質倍数体,Saccharomyces pastorianusに属する.一つの細胞に2つのサブゲノムがどのように構成され,遺伝子発現を調節し,代謝物を制御して,表現型を現し,醸造特性を発揮しているか,下面発酵酵母の特性を把握するための解析技術を開発・活用しながら,その特性の理解を試みるとともに,得られた知見を解説する.
著者
小林 統
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.465-471, 1996-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

酵母の凝集に関しては, 清酒酵母でも泡なし酵母でも種々研究され, 細胞壁の構造が関与していることが解明され, 実用化が進んでいる。ビール酵母でも酵母の凝集は発酵に大きな作用を及ぼすことは昔から知られていた。ここでは, 凝集に関与する遺伝子について筆者の研究をも紹介しながら, 分かりやすく解説していただいた。