著者
伊藤 公雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.680-686, 1989-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

日本で少なくとも1,300年以上の歴史を有する味噌は極めて素朴な道具と設備で開放条件下で醸造され, 保管されてきたので, 常に微生物汚染の危険に曝されてきた。また, 調理法も味噌汁という加熱処理を経たもの以外に直接生の状態の使用もかなりあったし, 現在もこの食形態は日常茶飯事である。にもかかわらず, 味噌が食中毒の原因となった事例は聴かない。しかしながら, 最近は低塩化, ルー化など味噌は多様化しつつあり, この際味噌の衛生細菌汚染の実態とその可能性について予め調べておくことが, 食品衛生上必要である。
著者
島津 善美 藤原 正雄 渡辺 正澄 太田 雄一郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.747-755, 2011 (Released:2017-03-21)
参考文献数
43

味と温度の関連性については必ずしも一致した結論が得られてないのが現状であるが,近年,清酒の特性を生かした飲み方の提案として,温めて飲む燗酒及び酒質と様々な食材・料理との相性を求めるような研究も多く見られるようになった。そこで,ワインの有機酸の研究を長年に亘って研究を重ねてこられた筆者らに,清酒の味を左右する二つの成分,有機酸及びアミノ酸と飲用温度の関係について,官能評価の結果に基づいて,詳しく解説して頂いた。日常の料理メニューで最も普及している21品目について,清酒と料理の相性基本表など新しい知見も提示されている。得られた知見が清酒の需要拡大につながるものと期待し,清酒業界の方々にも是非参考にしていただきたい。
著者
岩田 博 磯谷 敦子 宇都宮 仁 西尾 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.534-538, 2004-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8

口噛み酒製造工程への米α-グルコシダーゼの働きを検討するため, 生米と炊飯米で口噛み試験を行い, 糖組成, α-グルコシダーゼ活性, pH及び有機酸組成の各変化を調べた。糖組成について, 24時間後で, 生米はグルコースが5%, マルトースが0%であったのに対し, 炊飯米ではマルトースが5%, グルコースが0.8%で両者は全く異なっていた。この理由は, 糖組成とα-グルコシダーゼ活性の測定結果から, 唾液アミラーゼにより生成されたマルトースが, 生米のα-グルコシダーゼによりグルコースに分解されたためと推定された。また, 有機酸組成の検討から, 微生物が生成した乳酸などによるpH低下と酵素抽出促進効果がおこり, α-グルコシダーゼが有効に機能する環境条件下で口噛み試験の反応が起こっていることが分かった。以上から, 口噛み酒は生米のα-グルコシダーゼを巧みに利用した酒造りであると推定された。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.306-317, 2015 (Released:2018-04-23)
参考文献数
7
被引用文献数
2

フランス北部,ベルギーとの国境に近いシャンパーニュ地方は,寒冷な気候でワインブドウが完熟するには厳しい条件だが,逆にその条件を活かしたシャンパンは世界のスパークリングワインをリードしている。このシャンパン造りを支えるブドウの栽培方法は,厳しい自然環境のなかで先人たちの努力と試行錯誤の積み重ねによって見出されたものと言えるだろう。シャンパン醸造について研修・情報収集をされた筆者に,この地方のブドウ栽培の概要とシャンパンの品質と名声を維持するために設けられている種々のルールについて解説していただいた。
著者
田村 隆幸
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.139-147, 2010 (Released:2012-02-17)
参考文献数
28

酒と料理との関係は,お互いに引き立て合うことが肝要だが,ワインによっては魚介類の生臭味を強調させてしまうことがある。著者らの研究によって,その一因がワインの鉄含量によることが確かめられた。本記事をワインと魚介料理を楽しむための参考にしていただければ幸いである。一読をお薦めしたい。

10 0 0 0 OA 麹と麹菌

著者
和久 豊
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.111-120, 1995-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
97

麹と麹菌の最近の進展について, 清酒から味噌, 醤油さらには焼酎用まで解説していただいた。醸造における麹菌の役割は極めて重要であり, 筆者が述べているように, ニューバイオテクノロジーと従来のいわゆるオールドバイオテクノロジーとがうまく調和した状態で発展することが望ましいと言える。
著者
稲橋 正明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.14-21, 2016 (Released:2018-05-28)
参考文献数
14

近年,健康面で乳酸菌が話題になることが多い一方,清酒醸造において生?系酒母が見直され,多くの酒造場で製造されるようになっている。従って,目にはみえないものの,私共の身の回りにこれまで以上に乳酸菌がはびこっていることが容易に想像される。清酒醸造にとっては,腐造の原因微生物として恐れられているが,その性質をよく知ってみるとそれ程恐れることはないし,応用面でも再評価してよさそうである。ご一読をお勧めします。

9 0 0 0 OA コクと日本酒

著者
伏木 亨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.388-391, 2003-06-15 (Released:2011-09-20)
被引用文献数
1 1

日本酒のコクはゴク味ともいわれ, アミノ酸やペプチドなどの成分のほかに甘みと酸味のバランスなどが関与しているとされる。コクは日本酒の代表的な味覚感覚であり, その実体を明らかにすることは清酒の品質設計やおいしい飲み方などに貴重な情報を提供するものと考えられる。筆者は最近研究が活発になってきたコクを科学的に解明するための研究に取り組まれている。そこでコクにかかわる生理的側面や日本酒との関係について詳細に解説していただいた。
著者
大浦 新 鈴木 佐知子 秦 洋二 川戸 章嗣 安部 康久
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.781-788, 2007-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

Amazake is a traditional Japanese beverage made from sake cake or rice-koji produced in sakebrewing process. Recent progressive studies showed that sake cake and rice-koji had various physiological functionalities, such as anti-hypertension, anti-obesity and anti-amnesia. Such functionalities were anticipated in amazake, so we investigated the effects of amazake in mice. Administration of amazake to mice fed a high fat diet for 2 weeks suppressed increases in body weight, serum concentrations of triglycerides, and intraperitoneal adipose depots accumulations. When amazake was orally administrated to salt-induced hypertensive mice, blood pressure showed a significant decrease after 50days of breeding. When impairment of learning and memory in mice was induced by a subcutaneous injection of scopolamine, prior oral administration of amazake prevented a decrease in performance for memory and learning even in a single dose. These results demonstrated that amazake has three types of health-promoting benefits--anti-obesity, anti-hypertension, and anti-amnesia--resulting from attributions of sake cake, rice-koji, and other elements of sake-brewing. These functionalities indicated that amazake should be newly recognized as a natural and healthy drink for the prevention of lifestyle-related diseases.
著者
橋口 知一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.352-356, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

東日本大震災から3年が経過し,瓦礫の処理,インフラ,建物も整備されつつあります。しかし,原発からの放射能汚染は本調査のとおり酒類では問題は出ていませんが,今後も注視する必要があります。清酒の輸出や国内の汚染の状況など考える上で貴重な資料だと思います。ご一読下さい。
著者
黒田 利朗
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.136-148, 2012 (Released:2017-10-24)

黒田利朗氏は,1981年にパリに翻訳やビジネス関連調査を行うシンクタンク会社KSMを設立され,この分野では長く活躍されておられますが,2004年から日本食レストラン(現在3軒),2007年から日本食材・調味料,酒類の輸入販売を行うワークショップ・イセを始められました。ワークショップ・イセでは「ホンモノの食材を通じて日本の風味を伝える」をコンセプトに,欧州への日本の生活文化の発信に取り組んでおられます。氏のフランスでの長い経験と交友関係を生かした,ジャーナリスト,ソムリエ,飲食業関係者を対象とした日本酒試飲会の取り組み,また,ビジネス経験に基づくアルコール関連事情の分析等から,今回大変新鮮かつ価値のある報告をいただいております。
著者
土田 靖久 大江 孝明 岡室 美絵子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.7, pp.489-495, 2015 (Released:2018-05-10)
参考文献数
25

梅酒は製造工程がシンプルであるため,原料ウメの特性や状態が梅酒品質に及す影響は大きい。しかしながら,この分野での研究例は未だ少なく,十分な知見が蓄積されていないのが実情である。 本稿では,原料ウメの栽培条件とそのウメを使用して製造した梅酒品質との関連性について,これまでの試験研究結果を含め貴重なデータをご紹介いただいている。梅酒製造に関心ある方は,是非ご一読いただきたい。
著者
吉田 元
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.17-22, 2006-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

世界中にその品質の良さが認知されている日本のりんご。そのりんごの最大生産地である青森県の津軽地方。りんごを原料として醸成されたシードルは, まさに飲むりんごそのものである。筆者は, 本稿で津軽におけるリンゴ酒の歴史 (日本のシードルの歴史とも言える) を膨大な資料をもとに纏められた。先人のリンゴ酒への思い, 開発魂が今に伝わってくる貴重な資料である。
著者
砂野 唯
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.866-873, 2014 (Released:2018-04-09)
参考文献数
14

科学的にも,また,文化人類学的にもアフリカのアルコール飲料の研究は魅力的である。アフリカのアルコール飲料には様々な原料が使用されており,未だに十分な調査がされていないものや希少な酒は数多い。本稿では,食事として摂取されるエチオピアの珍しいアルコール飲料について解説して頂いた。
著者
木村 啓太郎 久保 雄司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.756-762, 2011 (Released:2017-03-21)
参考文献数
25

我が国の大豆発酵食品の中で,納豆は味噌,醤油と並んで広く愛され,食されている食品である。本解説では,納豆菌と枯草菌の由来,納豆種菌の由来と製造の現状について歴史的変遷を含めて解説していただいた。また,著者らが研究されてきた納豆菌と枯草菌の系統解析や最近の納豆菌ゲノム解析の完了にともなって得られた研究成果から,納豆菌と枯草菌の相違点について,ゲノム上の一塩基多型とクウォーラムセンシング遺伝子の多様性等,明らかになってきたことや今後の納豆,納豆菌研究の注目点と展望について解説いただいた。
著者
藤田 晃子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.5, pp.271-279, 2011 (Released:2016-11-15)
参考文献数
29

酒が充分にない頃は酒が飲めるというだけでも喜びであったはずだが,誰と飲むか,どこで飲むかを気にすることが多くなり,酒の種類が増えてくると,売り場のPOPをはじめ何の料理ではどの酒ということが情報として必要とされている。酒と料理の相性に関する研究は,まだ始まったばかりであり幅広い方に興味を持っていただき,様々なアプローチが行われればと思う。
著者
金子 健太郎 進藤 斉 佐藤 和夫 高橋 康次郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.539-549, 2013 (Released:2018-01-15)
参考文献数
25
被引用文献数
1

不飽和脂肪酸の水和化能の高い乳酸菌を用いて,焼酎もろみ中でγ-ラクトン類を生成させるための諸条件を検討した。1.水和化能の高い乳酸菌をどぶろくから分離し,その中から能力の高い乳酸菌26-a株,26-d株及び41-d株 の3株を分離した。同定の結果,26-a株及び26-d株はLb.brevisと同定されたが,41-d株は同定に至らなかった。2.焼酎もろみでの不飽和脂肪酸の供給源として麹エキスや酵母の自己消化物,90%精白米よりは玄米が好ましいことがわかった。3.玄米を掛け原料として黒麹(90%精白)を用いた焼酎仕込条件を検討した結果,酵母は,清酒酵母K701より焼酎酵母SH4,泡盛酵母AW101が優れていた。また,乳酸菌の添加時期は2次仕込の1日目に,添加菌数は106cfu/mlが好ましかった。4.この条件で仕込んだ焼酎には0.070~0.15ppmのγ-nonalactone,0.16~0.35ppmのγ-dodecalactoneが生成された。また,乳酸菌26-d株のみに0.09~0.12ppmのγ-decalactoneが検出された。5.官能評価では,対照に比べ乳酸菌を添加して醸造した焼酎は,γ-ラクトン類の香りが高く味が濃いというコメントが見られた。また,低沸点香気成分の量が多いこと等から,香りの評価がいずれも高く,また,味及び総合評価でも26-d株及び41-d株で醸造した焼酎が対照よりもかなり良い結果であった。
著者
前橋 健二
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.818-825, 2011 (Released:2017-03-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

味覚として,最も重要な位置にある甘味について,甘味を発する物質として糖やアミノ酸の天然甘味物質から人工合成甘味料・甘味タンパク質・甘味阻害物質までを概観していただくとともに甘味を感知する仕組みを細胞レベルから受容タンパク質まで最近の知見を幅広く網羅し,平易に解説していただいた。
著者
小松 明
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.745-750, 1991-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

アルコール発酵の主役である酵母にも最適な生育環境があるし, 感情はなくとも生命体である限リストレスがあるはずである。クラッシク音楽を仕込蔵に流し酵母の生育境を好ましいものにし, 酒質を向上させるという話を聞く。音楽を振動に変換波及し, 発酵あるいは熟成を好条件に導くことが出来れば, 人間の飲酒環境にもプラスになる。本報はこのような試みについてまとめていただいた。