著者
森 博愛 小林 総一郎 毛利 三郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.293-297, 1992-04-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

左脚分枝ブロックの1型である左脚中隔枝ブロックの際には, 横断面QRS軸の方向が変化し, QRS波前方成分が増大する. 健常例のV1, 2のQRS波計測値に基づき, 下記のような左脚中隔枝ブロックの心電図診断基準を設定した.(1) 右室肥大, 完全右脚ブロック, WPW症候群 (A型), 高位後壁梗塞, 肥大型心筋症, 心臓長軸周りの著しい反時針式回転を起こすような胸郭ないし胸郭内異常を除外する.(2) 次の2項目の内, 何れか1つを満たす.(1) V1のR/S>2, かつRV1≧5mm, (2) V2のR/S>2, かつRV2≧15mmまたはSV2<5mm高年者を主対象とする病院の全入院患者における本所見の頻度は3.5%で, 左脚前枝ブロック, 完全右脚ブロックより少ないが, 完全左脚ブロック, 両脚ブロックよりも多く, 高年者の異常心電図所見の1つとして注意を払う必要がある.