著者
小林 葉子 KOBAYASHI Yoko
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテスリベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.86, pp.95-105, 2010-06

本稿1)では,外国語教育の目的である基礎的な外国語運用力(4技能)習得を長い間達成できずにいる日本の英語教育を見つめなおし,このような状況にも関わらず,新たに議論されている目標3つを整理し,そうした目標を必要だとする声の背景と,目標設定の問題点を明らかにする.具体的には,日本人に欠けている・磨かなくてはいけない能力として最近盛んに議論されている,異文化への寛容な態度,グローバル社会に対応できる英語力,そして自己表現力としてのコミュニケーション能力を取り上げ,そうした態度・能力を英語教育という授業の中で育成しようとする動きとその限界を議論していく.理論的枠組みとして,留学生教育,国際ビジネス,第二言語教育を含めた応用言語学,コミュニケーション学,文化心理学などの学問領域にその知見をもとめる.