著者
横田 正幸 小滝 益三 小枝 武美 佐藤 喜一 秋吉 正豊
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.841-849, 1976

複合トローチ明治は, 硫酸ララジオマイシン (以下FRM) および塩酸グラミシジンS (以下GRMN) を主剤としたトローチ剤で, 両者の相加作用によつてグラム陰性菌, 陽性菌を含む広範囲の病原菌に対し抗菌作用を示し, 口腔・咽喉頭および上気道粘膜感染症に対する有効性が報告されている1~11)。<BR>FRMは, Fig.1に示した構造式をちつアミノ配糖体系抗生物質であるが, 従来からアミノ配糖体系抗生物質はいずれも程度の差はあるものの聴覚器障害をもつことが報告されている12~49)。これらの点から, 今回, 著者等は, 雄性モルモットを用い, FRMとGRMN混合末を経口 (p.o.) 投与し, 聴覚器への影響について耳介反射域値の変動および蝸牛の病理組織学的検索によつて検討した。さらに, 投与経路による差についても検討するため, FRMを皮下 (s.c.) 投与した。その結果, いくつかの知見を得たので, 以下報告する。