著者
佐藤 喜一 POLPATHAPEE Sunanta PEERAVUD Sumet ANTARASENA Soontorn
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.733-739, 1990

タイ国における頭頸部悪性腫瘍の実態を, わが国の国立がんセンターの研究資料と比較し興味ある結果を得たので報告した. いずれも1985年度の調査で, タイでは総数835 例, わが国では, 1, 353例であつた. タイでは口腔癌が圧倒的に多く46.83%であり, 次いで上咽頭癌22.63%, 咽頭癌14.85%の順であつた. わが国では口腔癌が33.85%で, 喉頭癌30。38%, 上顎洞癌11.30%の順であつた. これらはX2検定で有意であつた. 罹病者は男性が女性の2倍から3倍にみられたが, わが国の男性はタイ男性に比較して1.5 倍高い罹病率であつた. 口腔癌のうち舌癌は第1位であるが, タイでは頬粘膜, 歯齦, 口唇癌が多かつた. これはタイの人々が生の煙草やbetelを好んで噛む習慣のためと考察した. 上咽頭癌がタイに多く, これに対し喉頭癌と上顎洞癌がわが国に多い点について若干の考察を加えた.
著者
伊藤 幸江 石川 均 西本 浩之 向野 和雄 石川 哲 佐藤 喜一郎
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.211-216, 1990-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12

今回,輻湊痙攣による内斜視,調節痙攣,縮瞳の3症状が同時にみられる近見反応痙攣の2症例を経験した.症例1は18歳女子高校生,3歳半頃,頭部打撲後より内斜視に気づいた.両外転神経麻痺がみられたが徐々に改善した.ところが,15歳頃,全身運動した後に頭痛と複視を自覚し,近見反応痙攣が出現した.症例2は28歳女性,26歳頃より症状が出現し,現在も恒常的に近見反応痙攣が続いている.この痙攣に対して上原らが用いたアモバルビタールの静注を我々も行ってみた.症例1は静注前と著明な変化はみられなかった.症例2は3時間程持続効果がみられ以前の状態に戻ってしまった.近見反応痙攣の発作は,皮質中枢の異常興奮・輻湊の中間中枢,動眼神経核,EW核への抑制の障害などが考えられ,アモバルビタールの有効性からも推定できる.
著者
横田 正幸 小滝 益三 小枝 武美 佐藤 喜一 秋吉 正豊
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.841-849, 1976

複合トローチ明治は, 硫酸ララジオマイシン (以下FRM) および塩酸グラミシジンS (以下GRMN) を主剤としたトローチ剤で, 両者の相加作用によつてグラム陰性菌, 陽性菌を含む広範囲の病原菌に対し抗菌作用を示し, 口腔・咽喉頭および上気道粘膜感染症に対する有効性が報告されている1~11)。<BR>FRMは, Fig.1に示した構造式をちつアミノ配糖体系抗生物質であるが, 従来からアミノ配糖体系抗生物質はいずれも程度の差はあるものの聴覚器障害をもつことが報告されている12~49)。これらの点から, 今回, 著者等は, 雄性モルモットを用い, FRMとGRMN混合末を経口 (p.o.) 投与し, 聴覚器への影響について耳介反射域値の変動および蝸牛の病理組織学的検索によつて検討した。さらに, 投与経路による差についても検討するため, FRMを皮下 (s.c.) 投与した。その結果, いくつかの知見を得たので, 以下報告する。