著者
小柳津 章允
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.719-724, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
10

複視により,麻痺眼不使用を認めた 70代男性の急性期脳幹梗塞例に対し,視覚と体性感覚の統合機構への治療介入を実践したため報告する.症例は,右眼(麻痺眼)に内転障害を呈し,左方視で複視を認めた.麻痺眼に眼帯使用など片眼遮断にて生活を行っていたが,歩行などに生活の不自由を感じていた症例に対し,上肢運動覚と視覚の統合を用いた治療介入を週5回を限度として,1日20分,期間は9日間実施した.その結果,両眼使用での生活が可能になり,生活の不自由度も改善された.両眼使用により,(麻痺眼)外眼筋の短縮や萎縮など二次的な変化を予防できたことが,良好な結果につながったと考える.