- 著者
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小柴 篤史
坂本 龍一
並木 美太郎
- 雑誌
- 研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
- 巻号頁・発行日
- vol.2017-OS-141, no.21, pp.1-7, 2017-07-19
オンチップアクセラレータを用いたパイプライン並列処理は,チップ間のデータ転送とタスク実行をオーバラップすることでアクセラレータの演算性能を活用できる.しかしアクセラレータや DMA の実行制御,同期制御を頻繁に行う必要があるため,従来のデバイスドライバを介したアクセラレータ制御ではユーザ / カーネル空間のコンテキストスイッチに起因するオーバヘッドを招き,処理性能が低減する課題がある.そこで本研究では新たな OS の資源管理手法として,パイプライン並列処理向けのアクセラレータの制御機構を提案する.提案手法は,本来ユーザプロセスが行う煩雑なハードウェア制御をカーネルプロセスが代行する.これによりユーザ / カーネルプロセス間の通信を抑制し,制御オーバヘッドを削減する.本研究ではその初期検討として提案する OS 機構を Linux に実装し,ヘテロジニアスマルチコアプロセッサのプロトタイプを用いて評価した.アルファブレンダのパイプライン並列プログラムに提案機構を適用した結果,提案機構はデバイスドライバを用いる場合と比較してソフトウェアの制御オーバヘッドを 86.2% 削減し,プログラムの実行速度を 1.66 倍高速化することを明らかにした.