著者
小椋 崇広 James MCELWAINE 西村 浩一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.117-125, 2003-03-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2

雪崩の挙動予測には,質量中心モデルがよく用いられる.しかし,雪崩データの不足から,斜面の曲率変化にともなう遠心力の効果,空気抵抗,底面摩擦については十分に議論・検討が行なわれておらず,モデルの評価は未だに十分とは言えない.そこで,本研究ではピンポン球を用いた大規模な模擬雪崩実験を札幌市宮の森ジャンプ台で実施するとともに,質量中心モデルを用いて流下速度の再現とパラメーターの検証を行った.その結果,以下の事項が明らかになった.(1)遠心力の効果の有無に関わらず,モデルはピンポン雪崩の流下速度をよく再現する.(2)空気抵抗係数:L(=2m/ρaCDA)は,ピンポン球雪崩の規模(球の数)の1/3乗に比例する.(3)底面摩擦係数(摩擦角)は,規模によらず一定の値をとる.