著者
岸 知恵 髙野 泰明 小寺 徹 中川 善雄 小椋 智美 津田 好子 奥山 春子 福山 藍子 上野 恵美子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.588-593, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
10

目的:上部消化管内視鏡検査の前投薬として,芍薬甘草湯の蠕動抑制効果を検討した.方法:上部消化管内視鏡検査を実施した78例の前投薬を,ガスコン水100mLのみ服用する群(ガスコン群)と,これに芍薬甘草湯2.5gを溶解させた群(芍薬甘草湯群)とに割り付けた.検査施行医が,胃前庭部の蠕動を丹羽分類で,蠕動による検査の支障の程度をVisual Analogue Scale(VAS)で評価し数量化した.丹羽分類の評価は,別の消化器内科医師がDVD動画でダブルチェックを行った.結果:ガスコン群61例,芍薬甘草湯群17例の検討の結果,両群間に統計学的有意差は認められなかったが,ガスコン群に比べ,芍薬甘草湯群に蠕動を抑制する傾向がみられた.結論:芍薬甘草湯は,上部消化管内視鏡検査の前投薬として蠕動抑制効果が期待される.