著者
永富 彰子 小橋 宏美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-9, 2009-01

1983年(B群),1993年(A群)の既報につづき2007~08年本学学生100名のシルエッター写真による側面視体型計測(S群)を行い,各群の統計処理値による経年変化について分析を試みた。またS群の体型分類とその特徴を捉えることを目的とした。結果,S群の主要項目と"日本人の人体寸法データベース2004-2006"(21~29才)とを比較すると,差は殆ど見られずS群は現日本人の平均的寸法といえる。B-A群の比較では,A群は人体全体が前・後方向への突出量が増えメリハリのある体型であったが,A-S群の比較では,S群は下半身体軸がほぼ直上で上半身体軸はやや後方への傾斜があり,頸部は前傾していることからWより上方のみで前後のバランスをとっている。またS群はA群より身長が1.5㎝伸びていることからやや細長型の方向性が見られる。しかし,S群の厚径項目によるクラスター分析で最も人数が多いグループの特徴は,下半身突出量は前方がやや多く,上半身突出量は後方がやや多い。頸部は前傾している。つまり,平均・差の検定とはやや異なった結果である。これは,平均では正・負の数値が相殺されたものであることが明らかとなったものであり,体型特徴の詳細なデータを得るにはクラスター分析が有効であった。