著者
三吉 満智子 永富 彰子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.288-301, 2004-04-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24

本研究は, 成人女子について, 上半身を密着被覆する個体への適合原型を求めて, その原型各部計測値から統計的に胸度式原型作図法, およびグレーディングに必要とするデータを求めたものである.適合原型は, 適合チェックリストを定め, その条件を満たすように厳密にチェックした.適合原型から胸度式原型作図に必要とする各部寸法を計測し, 回帰分析によって理論値としての各部算出式を求めた.またそのバストにかかる回帰係数をグレード係数としてバストサイズピッチに応じてグレード量を算出した.本報では, 衿ぐり, アームホール周辺の算出式およびグレード量について報告する.結果, 本実験の回帰係数からのグレード量と, 一般に多用されている胸度式原型からのグレード量, アパレルにおけるグレード量を比較すると, 本実験値が小さい値となっている.アパレル業界によって供給される衣服の不適合に関する消費者の苦情の一部は, これらの部位に関するものであり, 本研究で採用した理論的方法論は有効であると考えられる.
著者
永富 彰子 小橋 宏美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-9, 2009-01

1983年(B群),1993年(A群)の既報につづき2007~08年本学学生100名のシルエッター写真による側面視体型計測(S群)を行い,各群の統計処理値による経年変化について分析を試みた。またS群の体型分類とその特徴を捉えることを目的とした。結果,S群の主要項目と"日本人の人体寸法データベース2004-2006"(21~29才)とを比較すると,差は殆ど見られずS群は現日本人の平均的寸法といえる。B-A群の比較では,A群は人体全体が前・後方向への突出量が増えメリハリのある体型であったが,A-S群の比較では,S群は下半身体軸がほぼ直上で上半身体軸はやや後方への傾斜があり,頸部は前傾していることからWより上方のみで前後のバランスをとっている。またS群はA群より身長が1.5㎝伸びていることからやや細長型の方向性が見られる。しかし,S群の厚径項目によるクラスター分析で最も人数が多いグループの特徴は,下半身突出量は前方がやや多く,上半身突出量は後方がやや多い。頸部は前傾している。つまり,平均・差の検定とはやや異なった結果である。これは,平均では正・負の数値が相殺されたものであることが明らかとなったものであり,体型特徴の詳細なデータを得るにはクラスター分析が有効であった。