著者
小武内 行雄
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.414-426, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
24

本研究の目的は, 親子関係のしつけにおけるしつけ者(親)として抱える「悩み」「成長」に焦点を当て, そのあり様と被しつけ者(子ども)のしつけ認知(評価)との関連について検討することである。はじめに親の「悩み」「成長」の実際を明らかにするため, しつけの「悩み」と, それを経た「成長」について, 中高生の子どもを持つ親(父親6名, 母親9名)を対象に面接調査を行った。更にその結果を基に尺度を作成し, 中高生の子どもを持つ親子(父子, 母子)を組とした質問紙調査を行った(327組)。その結果, しつけ者(親)が抱えるしつけの「悩み」として「対応の硬直」「家族成員間葛藤」「対応への困惑」「価値の模索・対比」「両価性葛藤」の5因子, また「成長」として「自己超越性」「受容的態度」「柔軟性」「自己の再編」「子どもとの関わり変化」の5因子が抽出された。そして子どものしつけ評価と親の「悩み」「成長」との関係を検討した結果, (1) 子どもから高いしつけ評価を得ることと親の成長得点の高さに関連が認められること, (2) 親の悩みの抱え方についてはいくつかのパターンに分類され, それらによりしつけ評価や成長のあり方が異なること, などが示された。