著者
小池 祥太郎 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.223-230, 2015 (Released:2016-04-01)
参考文献数
18

看護師が輸液中の患者から採血する場合,輸液をしている側の上肢を採血部位として選択することは少ない.これは輸液が血液データに影響することを避けるためである.しかし,輸液を実施している側の上肢から採血した場合,輸液がどのように採血データに影響するかは明らかとなっていない.そこで,本研究では輸液実施側の中枢側・末梢側と輸液の影響がない反対側の採血データを比較し検討することを目的とした.実験動物として,日本白色種雄性ウサギを選択し,ウサギの耳介をヒトの上肢に見立てて,左耳介静脈からソリタ®T3Gを投与し輸液実施部位の中枢側・末梢側,そして反対側にあたる右耳介静脈から採血を行った.その結果,総蛋白・アルブミン・ナトリウム・クロール・カルシウム・マグネシウムの中枢側データは反対側にくらべて有意に低く,血糖・カリウムは有意に高かった.また,すべての項目で末梢側データと反対側で有意な差は認められなかったが,一部のデータで限局的に影響がみられた.よって,輸液実施部位より中枢側は採血部位として不適切であるが,末梢側は適切な採血部位としての可能性が示唆された.
著者
小池 祥太郎
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.126-131, 2014-08-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,熱布清拭と石鹸清拭が気分とストレスに与える影響を明らかにすることである.研究方法は対象者10名に対して熱布清拭と石鹸清拭を行い,日本語版POMS短縮版と唾液アミラーゼ活性にどのような変化があるかを比較した.また,熱布清拭と石鹸清拭の影響を比較するために,両清拭における日本語版POMS短縮版のT得点の変化量を比較した.その結果,熱布清拭前後における日本語版POMS短縮版のT得点はすべての項目において有意な差は認められなかった.一方で,石鹸清拭前後における日本語版POMS短縮版のT得点は「抑うつ-落込み」「混乱」で有意な減少,「活気」で有意な上昇が認められた.熱布清拭と石鹸清拭の日本語版POMS短縮版T得点の変化量の比較は,石鹸清拭が熱布清拭と比較し「活気」に及ぼす影響が有意に高い結果となった.なお,唾液アミラーゼ活性は両清拭とも有意な変化は認められなかった.この結果から,石鹸清拭は熱布清拭と比較し精神的効果が高い援助方法であることが示唆された.