著者
竹山 恵美子 小沼 朋恵 高内 沙紀 堀内 美香 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.174, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】ペルーで栽培されるサッチャインチの完熟種実から圧搾して得られるグリーンナッツオイル(サッチャインチオイル)は,ω-3系脂肪酸であるα-リノレン酸とγ-トコフェロールに富んでいる。発表者らはこのオイルが生体に対して高い抗酸化力を示し,DNAの酸化損傷を抑える働きを有する可能性を臨床試験により明らかにした。一方,アマニ油やエゴマ油も同様にω-3系脂肪酸に富んだ油として知られており,以前から使用されている。しかしながら,ω-3系脂肪酸を豊富に含む油脂は加熱や光照射による影響を受けやすく,保存や調理の際の劣化が問題となる。そこで,より適した調理法を開拓するためグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の加熱および紫外線照射による影響について検討した。 【方法】試料はグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の3種類を用いた。これらを各々フライパンに一定量とり,80,100,120,140,160,180℃で10分間加熱した。また,UVランプを用いて,0,5,10,15,20,25時間紫外線照射した。これらの過酸化物価,カルボニル価を測定した。【結果】紫外線照射により過酸化物価・カルボニル価は,3種の油ともに上昇したが,その値はアマニ油>エゴマ油>グリーンナッツオイルの順で,特にグリーンナッツオイルは他の2種に比べて著しく低い値であった。また,10分間の加熱においても,温度の設定が高くなるほど両価の上昇が認められたが,過酸化物価はある温度をピークに減少し,その減少開始温度は油の種類により異なった。140℃までの加熱においては,グリーンナッツオイルが3種の油の中で最も劣化度が低いことが認められた。