- 著者
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小泉 敦
西村 豊
神山 かおる
- 出版者
- Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
- 雑誌
- 日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.60-68, 2008
本研究は, 広い物性範囲から選んだおやつやおつまみとして食べられる食品の咀嚼特性を, 筋電図を用いて比較することを目的として行った.食品として, 皮付さきいか, ビーフジャーキー, チーズ鱈 (R), チーズかまぼこ, ピーナッツ, せんべい, ビスケット, グミ, えびせん, ポテトスナック (じゃがりこ (R)) を用いた.9名の成人被験者にランダムに提示したこれらの試料1.5gを自由に咀嚼させ, 左右の咬筋および側頭筋の筋電位を測定した.嚥下までの筋電図記録から, 咀嚼回数, 咀嚼時間, 総筋活動時間, 総筋活動量すなわち積分筋電位を得た.また各咀嚼動作ごとに, 筋電位振幅, 筋活動時間, 咀嚼周期, 筋活動量を得た.各食品の咀嚼中に起こるテクスチャーの変化を時系列で抽出するため, 一噛みあたりの筋活動は, 咀嚼全体の平均とともに, 咀嚼初期, 中期, 後期における値も計算した.<BR>咀嚼特性は咀嚼時間と一噛みあたりの筋活動量によってよく特徴づけられた.さきいかとビーフジャーキーは, 他の食品よりも一噛みあたりの筋活動量が大きく, 咀嚼時間もきわめて長かった.この2食品は, 総筋活動量が他の2倍並かそれ以上であった.チーズかまぼこは, 咀嚼進行に伴う一噛みあたりの筋活動量の低下が小さかったものの, いずれの咀嚼段階でも最小の筋活動量を示した.皮付さきいかは, 咀嚼中の一噛みあたりの筋活動量変化が10食品中で最も大きかった.皮付さきいかとビーフジャーキーは, 単位重量あたりばかりではなく, エネルギー量あたりの総咀嚼筋活動量も際だって高かった.