著者
鈴木 了司 小津 茂弘 会田 忠次郎 武井 伸一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.491-495, 1973-03-01 (Released:2011-02-17)
参考文献数
5

埼玉県北西部の秩父市において, 1970年頃より水田皮膚炎が発生し, その臨床症状等からセルカリアの皮膚侵入によるものと考えられた。水田棲息の貝類に寄生のセルカリアの有無を検査したところ, ヒラマキモドキより, Schistosomatidaeに属すると考えられる岐尾セルカリアを見出し, 感染実験でも人体皮膚に侵入することが認められ, このセルカリアが水田皮膚炎の原因になっていることを明らかにした。このセルカリアは, Gigantobilharzia sturniaeに類似しており, 埼玉県では東部において, ヒメモノアラガイを中間宿主とする種類と北西部における本種と, 少なくとも2種の鳥類住血吸虫のセルカリアによる水田皮膚炎が存在している。