著者
大嶺 ふじ子 浜本 いそえ 小渡 清江 宮城 万里子 砂川 洋子 杉下 知子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.64-73, 1999-11-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

正しい性知識を伝授することと性をより肯定的に捉えられるような動機付けを目的として, 大学生8人がピァ・カウンセラーとなり, 高校生42人に対しロールプレイ等を取り入れたピァ・エデュケーションを3回にわたり実施した. ピァ・エデュケーションの具体的な方法と展開内容および留意点を検討し, その実施前後に高校生の性に関する知識及び意識についての変化と男女差を明らかにするための自記式質問紙調査を行った.ピァ・エデュケーション実施後の感想では,「性についてよく考えられた」,「もっと性のことを知りたい」,「カウンセラーの人たちは話しやすくて, 質問をしやすかったので安心できた」,「3回だけではなくもっと計画してほしい」など否定的な感想は無く好評であった.今回の性知識・性意識の調査結果からも, この時期の特徴が反映されており, 性意識は活発化してきているといえるが, 性知識は不十分であった. 特に, 性知識の面では,男女ともに, 避妊法では「コンドーム」, STDでは,「エイズ」と知識に偏りが大きかった. 性意識の面では, 性の責任性において, 男子は実施後に高い得点を示し, 変化がみられた. また,「望まない妊娠を避けるには」において, 男女とも実施後に「男女が性について本音で話し合える」と答えたものが倍増し, 変化がみられた.このことより, ピァ・エデュケーションは, 生徒が性をより建設的, 肯定的に考えることに役立つ教育方法として, 効果があることが示唆された.