著者
小澤 千枝 石川 ひろの 加藤 美生 福田 吉治
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.266-277, 2021-08-31 (Released:2021-09-03)
参考文献数
30

目的:「健康無関心層」と呼ばれる集団の特徴を明らかにし,効果的なアプローチを検討することを目指し,健康への関心の概念整理と健康関心度尺度の開発を行った.方法:30~69歳の400名(30代,40代,50代,60代の男女各50名)を対象にインターネット調査による横断研究を実施した.調査項目は先行研究などから選定された健康関心度尺度の候補項目に加えて,健康行動(食習慣,運動習慣,飲酒習慣,喫煙状況)実施の有無などである.解析は構成概念妥当性検証のための探索的および確証的因子分析,再テスト法による一貫性,内的整合性の確認を行った.また,健康行動実施の有無による尺度得点の違いについてt検定を行った.結果:因子分析の結果,3因子,全12項目の尺度となった.各々の因子名は「健康への意識」「健康への意欲」「健康への価値観」とした.また,確証的因子分析において概ね許容できる適合度指標が得られた(GFI=0.932, AGFI=0.896, CFI=0.936, RMSEA=0.079).再テスト信頼性,内的一貫性は,尺度全体,下位尺度とも十分であった.尺度得点と健康行動の有無は,第1, 第2因子で概ね正の関連が見られたが,第3因子ではほとんど関連が見られなかった.結論:健康への関心を多面的な概念として整理し,3因子から成る健康関心度尺度を開発した.今後「健康無関心層」の把握と効果的な教育介入の検討に活用されることが期待される.