著者
三森 一司 小澤 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.5, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 カット野菜はその鮮度が重視され、消費期限が来たものは大量に廃棄処分されている。本研究では、資源の有効利用と消費期限設定の妥当性を探る目的で、カット野菜の冷蔵に伴うビタミンC含量の変化を調べ、野菜の種類によってビタミンの損失量に違いはないか、保管条件がビタミン残存量に及ぼす影響等について検討を加えた。 【方法】 試料のカット野菜は、個人向けの300g包装の商品を秋田市内で購入後、速やかに冷蔵庫に入れ、7℃で0~7日間保管し、経時的にビタミンC含有量を測定した。総ビタミンCの定量はヒドラジン法、還元型ビタミンCは、インドフェノール法を用いた。 【結果】 カット野菜に使用されている個々の野菜100g当たりの総ビタミンC量を比較したところ、キャベツでは、製造直後から製造後4日目にかけて急激に減少し、22.8mgから10.7mgと半減した。これに対し、もやしでは冷蔵期間を通してあまり減少しなかった。にんじんは、製造直後7.3 mg 、4日目7.2 mg、7日目 7.1 mgと更に変化が少なかった。キャベツの還元型ビタミンCを測定した結果、製造直後の還元型ビタミンC量を100%とした時、4日目85%、7日目63%と、還元型ビタミンCは総ビタミンCと異なり4日目から7日目にかけて大きく減少していた。このことからカットキャベツの製造直後から4日目にかけては、還元型ビタミンCの酸化も進むがそれ以上に、酸化型ビタミンCの2,3ジケトグロン酸への酸化が進行するため総ビタミンCの定量値が低くなったものと考えられた。にんじんのビタミンC減少が少ないのは、にんじんに含まれるカロテノイドの抗酸化作用によるものと考えられた。カット野菜の消費期限は製造日から4日間と短く設定されているが、本研究の総ビタミンC量の分析結果からも、妥当であると考えられた。