著者
小澤 昭彦 菊池 恵美子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.200-213, 2008-12-25

運輸7業種の事業主478名を対象に,「精神障害者雇用に対する事業主の態度尺度評価・改訂版」(ATEP II)の信頼性と妥当性を検証した。精神障害者雇用に対する運輸業の事業主の態度構造および態度形成要因について因子分析を行った結果,「精神障害者の雇用に対する意欲」「精神障害者の活動制限」「精神障害者に対する信頼」「精神障害者の受け入れ態勢作りの意欲」「精神障害者の注意配分」「精神障害者に対する危険視」「精神障害者の雇用管理に対する自己効力」「精神障害者雇用のメリット」および「能力重視の採用基準」の9因子が抽出されたが,構成概念妥当性の検証には確認的因子分析の実施が課題に残った。また,α係数と再検査信頼性係数の結果から,内的整合性と再検査信頼性が検証された。さらなる統計解析の結果,態度形成要因として,企業の特徴(運輸業以外の業種の有無,常用労働者数,雇用中の障害者数),常用労働者の特徴(雇用継続の期間,学歴に関する必要条件)または回答者の特徴(年齢,管理職か否か,障害者の雇用に関する経験)が示唆された。