著者
鈴木 健太郎 菊池 恵美子 木之瀬 隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.23-33, 2007-06-25
被引用文献数
3

車いす移送車両の安全性と快適性の現状と課題を明らかにすることを目的に,利用する障害当事者にアンケート調査を実施した。回答者は119名で,その中で65歳以上の高齢層の症例は79名(66.4%)であった。結果,利用時の事故遭遇者は11名(9.2%),ヒヤリ・ハット体験者は11名(9.2%),乗り心地に何かしらの問題を感じる症例は66名(55.5%)であった。得られた回答を,年齢,身体障害の程度,使用している車いすの種類,添乗者の有無,乗り心地の状況で分析した結果と記述意見から,車いす移送車両やその利用における課題は,車いすを車いす移送車両に固定する方法,車いすと利用者との適合,車体や道路状況の改善とそれに応じた運転の配慮,運転手や添乗者の気配りや理解,対応方法や安全確認にあることが示唆された。
著者
齋藤 佑樹 長山 洋史 友利 幸之介 菊池 恵美子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.299-308, 2017-06-15

要旨:本研究では,ADOCが作業療法面接に与える影響について検証した.ADOCは作業療法士とクライエントが協業的に面接評価を行い,作業療法目標を立案・共有するための面接ツールである.Webアンケート調査で,5名の予備調査インタビューから得た3つのカテゴリー(①セラピストの知識・技術,②セラピストの自信,③クライエントの状態)を基に,全34問の質問紙にて調査した.ADOCの使用経験者188名の回答を分析した結果,作業療法初心者には作業に焦点を当てた実践を追求したいと思う動機的側面にプラスに作用し,経験者では認知症や失語症など意思疎通が困難なクライエントと意味のある作業を共有する自信がついたとの回答が多いことが明らかとなった.
著者
柳澤 健 新田 收 笠井 久隆 猫田 泰敏 飯田 恭子 菊池 恵美子 長田 久雄 福士 政広 齋藤 秀敏 福田 賢一
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.276-281, 2000-03-25 (Released:2017-10-27)

東京都立保健科学大学生の国家試験合否予測などを目的として、東京都立医療技術短期大学生の入学・在学時成績と医療系国家試験合否との関係を(1)入学選抜方法と国家試験合否, (2)入学選抜方法(一般入試・推薦入試)と退学・除籍者数, (3)一般人試成績と国家試験合否, (4)学内成績と国家試験合否, (5)一般入試成績と学内成績, および, (6)国家試験の得点予測の6項目に分けて統計学的に分析した。対象は同短期大学に入学した1,132名で, 入学選抜方法, 一般入試成績, 学内成績, および国家試験の合否を指標に調査した。その結果, (1)入学選抜方法の相違による国家試験合格率に有意差はなかった。(2)一般人学に比べ推薦入学で退学・除籍者が多い傾向がみられた。(3)一般入試の成績は国家試験合格群と不合格群の間で有意差がなかった。(4)多くの学内主要科目の成績において国家試験合格群は不合格群に比べ高得点であった。(5)一般入試成績と学内成績との間に相関はなかった。(6)4学科のうち2学科で国家試験の得点予測式を試作した。
著者
小澤 昭彦 菊池 恵美子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.200-213, 2008-12-25

運輸7業種の事業主478名を対象に,「精神障害者雇用に対する事業主の態度尺度評価・改訂版」(ATEP II)の信頼性と妥当性を検証した。精神障害者雇用に対する運輸業の事業主の態度構造および態度形成要因について因子分析を行った結果,「精神障害者の雇用に対する意欲」「精神障害者の活動制限」「精神障害者に対する信頼」「精神障害者の受け入れ態勢作りの意欲」「精神障害者の注意配分」「精神障害者に対する危険視」「精神障害者の雇用管理に対する自己効力」「精神障害者雇用のメリット」および「能力重視の採用基準」の9因子が抽出されたが,構成概念妥当性の検証には確認的因子分析の実施が課題に残った。また,α係数と再検査信頼性係数の結果から,内的整合性と再検査信頼性が検証された。さらなる統計解析の結果,態度形成要因として,企業の特徴(運輸業以外の業種の有無,常用労働者数,雇用中の障害者数),常用労働者の特徴(雇用継続の期間,学歴に関する必要条件)または回答者の特徴(年齢,管理職か否か,障害者の雇用に関する経験)が示唆された。
著者
伊藤 祐子 井上 薫 三浦 香織 河野 光伸 菊池 恵美子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.88-93, 2004-09-25
被引用文献数
2

発達障害児に対する感覚統合療法では,児童の障害の特性に合わせて様々な遊具を使用し感覚刺激を提供するという特徴がある。前庭系の刺激を提供する方法のひとつに,天井からつるされたホーススイングに児童を騎乗させ揺れ刺激を与え,姿勢を保持させるという方法がある。この訓練方法は臨床上,多くの療法士によって姿勢反応が未発達である障害児に対し実施されている。しかし,ホーススイングに乗っている際の姿勢反応について,客観的指標に基づき分析を行った報告は少なく,その効果も明らかでない。そこで本研究では,5歳から6歳の健常児を対象にホーススイングに騎乗中の頭部,体幹の反応について3次元動作解析装置を用いて分析し,その結果,ホーススイングに上手く乗れる児童と乗れない児童では,頭部,体幹の反応および,頭部の左右変位について異なる傾向を示す可能性があることが考えられた。